「Premium Textile Japan 2019spring & summer」(5月9日(水)~11日(金))に伺いました。
「林与」の林社長とは、1年前の『つなぐ通信』の取材依頼の再会。お元気そうでよかったです。
⬆林 与志雄社長と斎藤えりさん。きめ細かで、超人的なパワーの持ち主の林社長と、器用で大胆なえりさんは、とてもいいパートナーになっているようです。この日、林社長は展示会の準備やらで前の日はほとんど寝ていないということで、少々お疲れ気味・・・
⬆1年前に試織中だった、近江上布の再現プロジェクトで復刻させた、「林与」のアーカイブ柄が展示され、評判も上々のよう。近江上布は、絣模様を織りで表すのが特徴で、よこ糸を枠に張って、その上に型紙で模様を捺染していきます。模様を捺染したよこ糸を、1本1本シャトル織機で「手織り」のように織っていき、模様を表したものです。かつては分業化して行う、とても手間がかかるものでしたが、林社長はこれを全て自社で行うことで、小ロット・短サイクルを実現。聞くところによると、枠によこ糸を張る機械も最近自分で開発したとか。
⬆柄を彫った型紙でよこ糸を捺染します(2017年撮影)
⬆シャトル織機でよこ糸を手織りのように、1本1本追っていきます(2017年撮影)
⬆試織中の近江上布のアーカイブ柄(2017年撮影)
社長の持論は「貧乏な学生には負けてはいられない」
つまり貧乏な学生は、お金がないので買ったりできず、自分で工夫して作ってしまいます。そういう精神を忘れずに、お金や時間がなくで「できない」とされていることを、工夫して不可能を可能にしてしまう。これも「故障やトラブルは当たり前、車も家もなんでも自分で修理していく」という留学生時代を過ごした、アメリカ仕込みのバイタリティなのかもしれません。
⬆新しく開発した、よこ糸を張る機械を利用して試織したドット柄の近江上布よこ絣。まだ多少の問題はありますが、これもすぐ解消できる程度のものと、林社長は自信を深めたようです。
⬆最近デザナーさんに関心が高まってきた、リネンの先染め柄。先染め柄を得意としている「林与」にとって、ギンガムチェックはさほど難しい柄ではありませんが、糸の質が変わってきたせいもあり、糸がすぐ切れてしまい、とても時間がかかっているといいます。細番手の麻糸は切れやすく、織り上げるには経験とかなりの技術を要するようです。
⬆ウインターリネンとして開発した、リネンとウールの二重織り。ダブルガーゼのような、柔らかくいい感じに仕上がっていますが、林社長は、まだ納得がいかないよう・・・
⬆『つなぐ通信』Vol.16の近江特集の表紙に登場した、林社長とえりさん。インパクトのある笑顔とパワーで、これからも新しいことに挑戦してくれそうです。
【Textile-Tree/成田典子】