『テキスタイル用語辞典』の重版について

『テキスタイル用語辞典』のこと ➡このような方におすすめ

版を重ねるごとに精度が高まっています。

『テキスタイル用語辞典』は、2012年2月25日に初版発行し、2019年7月12日で5版となります。初版時に何度も校正を繰り返し、用語も丁寧に調べておりますが、残念ながら完璧とはいかず、版を重ねるごとに修正を加え、辞書としての精度を高めております。

たとえば、日本の染織(テキスタイル)は歴史が古く、同じ素材でもいくつもの呼び名があったり、漢字の読み方もいく通りもあったり、地域によって独自の呼び名があったりします。それに気がつくごとに呼び名の変更や追加をしたりします。

また、同じ呼び名の生地であっても、本来の生地とは大きく変化しているものもあります。「小倉(こくら)」などはその例で、初版を見た福岡県在住の方から「自分が知っている昔の小倉とは違う」と伺い、さらに詳しく調べ、本来の「小倉織」の画像も加え、解説も追加しました。誤字・脱字に気がついたり、用語解説の誤りを指摘されることもあります。これらはレイアウトを大きく変えない程度に修正し、次回の重版に反映させます。

もちろん、初版から内容が大きく変わっているものではありませんが、『テキスタイル用語辞典』は、版を重ねるごとに、精度が高まっていくことをお伝えいたします。辞書は生き物でもあります。

Textile-Tree/編集部

一番右端が初版です。「テキスタイル用語辞典」の背表紙の文字が2版から太く大きくなっているのにお気づきでしょうか。少しでも書店で目立つように修正しました。

『テキスタイル用語辞典』の初版です。付箋は赤入れをした校正箇所です。開いている左側中段は「小倉」の項目です。

『テキスタイル用語辞典』の2版です。「小倉」の写真は3種類掲載しました。左端が武士の袴や帯として織られた本来の縦縞の「小倉織」。真ん中が学生服に用いられた綾織りの「小倉木綿」。右端が夏用学生服に用いられたブルーグレーの「霜降りの小倉」です。

【7版修正】ベンタイル

現在(2023年10月24日現在)『テキスタイル用語辞典』は、6版が販売されていますが、「ベンタイル」の項目に関して次回の7版で修正したものを掲載することになり、あらかじめこちらのコーナーでお知らせすることにしました。商標をお持ちの大和紡績株式会社様から「商標に関しての表記が誤解を招くのでは・・・」とご指摘いただいたもので、下記の文章に訂正いたします。『テキスタイル用語辞典』は、今後も内容の精度を高めていきたいので、疑問や間違いのある場合はご指摘いただけましたらありがたく存じます。
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<「ベンタイル」修正文:原稿掲載:2023年10月24日>
大和紡績(株)が商標をもつ、超高密度の綿100%の高機能素材。1930年代に開発された英国空軍パイロットの耐久服素材をルーツとし、日本では大和紡績(ダイワボウ)が1963年より開発し、1966年に商標登録した。通常は超長綿(ちょうちょうめん)をブロードの160%もの糸量で超高密度に織り込み、地厚で丈夫な織物に仕上げる。上品な光沢と張りがあり、自然な風合いと通気性・透湿性をもちながら防水・撥水性(はっすいせい)、防風性、保温性に優れ、ハードな使用にも耐えることができる。軍用、極地探検隊やヒマラヤ登山隊などのアウトウエア、ワークウエア、コートをはじめ、カジュアル素材としても浸透している。
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<校正を入れた箇所>