4月20日に行われた文化学園大学 服装学部 服装造形学科の
ファッションショーに、広島のTV局の中国放送が取材に来ました。
取材したのは、広島県福山市の(有)中村金襴(きんらん)工場が
ショーに提供した「ホログラム箔金襴(はくきんらん)」と名付けられた織物です。
そのいきさつと、中村金襴工場のことをご紹介します。
・・・中村金襴工場の中村幸弘社長と「ホログラム箔金襴」を使った
ショーの作品を撮影する広島中国放送・・・
中村金襴工場は昭和29年(1954年)創業で、
掛け軸や額装に使われる金襴や緞子(どんす)の製造では
日本の70〜80%のシェアを占める織物メーカーです。
「金襴」は金箔糸や金糸で模様を織り出した絢爛豪華な織物で、
金銀箔を織り込んだものは
「引箔織り(ひきばくおり)」「引箔金襴」ともいいます。
手織りだった引箔金襴を自動化する
「引箔金襴自動装置」を自社開発したことで
安価な提供が可能になりシェアを広げました。
現在、引箔金襴を織れるのは日本のみとなっており、
文字通り世界トップの生産メーカーとなっています。
・・・金襴を織る織機がずらりと並ぶ中村金襴工場・・・
・・・引箔金襴自動装置を取り付け、金襴が織られます・・・
・・・よこ糸に使われる金・銀・銅などの平箔(金箔糸)・・・
しかし、年々掛け軸の需要は減少。
新しい販売シェアを求めて中村社長は、新商品の開発や
インテリア部門の進出などに積極的に動き始めました。
そのひとつに、引箔織りの技術で「ホログラム」を織り込んだ
織物の試作があり、これを文化ファッション研究機構の
森川陽 機構長に私が紹介したことで
中村金襴工場と文化学園大学の出会いが生まれました。
・・・見る角度により色合いが変化する「ホログラム箔金襴」・・・
森川機構長は引箔織りのホログラムに大変興味を示され
この素材を文化学園大学服装学部服装造形学科の
鈴木正文教授に紹介しました。
鈴木教授は4月に行われる造形学科のショーに使いたいので
中村金襴工場に生地の提供をお願いし、
中村社長はこれを心良く引き受けました。
伝統技術で新しく表現した素材を、
次世代のクリエーターに表現して欲しかったからです。
・・・4月19日の新聞では「ホログラム箔金襴」の紹介と
文化学園大学のファッションショーで発表される記事が掲載・・・
・・・『テキスタイル用語辞典』でも解説している「金襴」・・・
次回は「ホログラム織り」を織ることになったいきさつを
お話ししたいと思います。