素材の話

毛並みも光沢もない「輪奈(わな)ビロード」知っていますか?

今日から、近江・京都取材日記を少しずつアップしていきます!

「ビロード(天鵞絨…こんな漢字を書きます)」という言葉を
聞いた事があるかと思いますが、「ベルベット」をいう和語です。

最近では「ビロード」という場合は
ベルベットの懐古的な表現や
「高級和服地のシルクベルベット」を言うことが多いようです。

一般的に「ベルベット」や「ビロード」は
毛羽(けば)や光沢のある滑らかなものをいいます。
さわると柔らかな毛並みの感じられるものです。

ところが、毛並みも光沢もない
「輪奈(わな)ビロード」というものがあります。
輪奈(わな)とは「ループ」のことで
普通のビロードは織り上げた後
この輪奈(ループ)をカットして毛並みを出していくのですが
輪奈をカットしないで残したままのものがあります。

それが「輪奈ビロード」です。(写真下)

光沢のない部分は輪奈(ループ)を残して柄を織ったものです。
光沢のある部分の柄(色の濃い部分)は、織り上げた後
手で輪奈(ループ)部分をカットして毛羽(けば)を出し
いわゆるベルベット風に仕上げたものです。
写真をクリックして拡大写真を見るとよくわかるかと思います。

滋賀県名長浜にある「株式会社タケツネ」は
この輪奈ビロードを織る数少ない織元さんです。

『テキスタイル用語辞典』の執筆でベルベットの事を調べていたら
「輪奈ビロード」というものがある事を知り
どうしても訪ねたくて今回のタケツネさんの取材となりました。

その貴重な製法などは、次回写真でお伝えします。
お楽しみに!