素材の話

針金で織る「輪奈(わな)ビロードVol.2」

ベルベットのことを「ビロード(天鵞絨)」ともいいますが
これはポルトガル語の「vellude」が語源とされています。
日本には1542年に南蛮貿易でポルトガルから伝来したといわれています。
ちなみに「天鵞絨」という漢字ですが
「天鵞」とは中国語で白鳥を意味し

「白鳥の羽根のように滑らかで優美な織物」ということらしいです。

ではその天鵞絨はどのようにして作られるのでしょうか…
専門家でない限り
なかなかビロードの織り方を知っていらっしゃる方はいないと思いますが
一般的なビロードは「パイル織」という
表面に毛羽(けば)や輪奈(わな)というループが表れる織り方です。
タオルを想像して頂くといいかもしれません。

織り方には2種類あって
ひとつは「二重織り」という織り方をし
2枚の生地の間をつないでいる糸を切って毛羽を出すやり方です。

もうひとつは細い針金を使って織る
「有線(ゆうせん)ビロード」という織法です。

織ったあとで、この針金を1本1本引き抜くと
引き抜いたところは糸が輪奈になっているのです。
これが「輪奈ビロード」です。

上の写真は細い針金を差し込んで織る「輪奈ビロード」です。
針金を引き抜くとこのような「輪奈状」の柄が現れます。
現在は、針金のかわりにポリエチレンのテグスを使って
織っています。
この隆起している輪奈の部分をカッターでカットしていくと
毛羽のある、見慣れたビロードに仕上がります。

輪奈ビロードを織っているところや
織り上がってからの「針抜き」作業や「紋切り」作業は
次回お伝えします。