三菱レイヨンが世界に誇るトリアセテートブランド「ソアロン」が
クールビズの快適素材として人気が高まっています。
・・・・「あいだのチカラ」をテーマにした三菱レイヨン・テキスタイル(株)の
2013春夏の展示会で、初めてお披露目された「ソアロン」の原糸・・・・
・・・・メタリックのような美しい輝きです・・・・
・・・・まるでクモの糸のよう!・・・・
トリアセテートは、天然パルプから生まれたセルロース系素材。
植物繊維のナチュラル感と合成繊維の機能性の両方の性質を併せもち、
世界でも生産は三菱レイヨンのみ。
エレガントな高級素材として知られていましたが、
水洗いもでき、肌触りにひんやり感のある「冷感接触」効果をもつことから、
2013春夏展示会では「ソアロン」の優れた持ち味の機能性に
スポットが当てられました。
トリアセテートの「美しく」「涼しく」「イージーケア性の高い」バランスの良さを
2013春夏の素材要素の一番に掲げた力の入った展示会に、
多くの来場者が訪れていました。
三菱レイヨン・テキスタイル(株)のテキスタイルクリエイター
藤野圭子さんがとても丁寧に説明してくださいました。
展示会ではトリアセテートの接触冷感素材ブランド
「COOLCUTE(クールキュート)」を大きくアピール。
トリアセテートは、適度な水分を含むため、
肌に触れて水分が蒸発する時の気化熱により
ひんやりとした感触を生み出します。
展示会の来場者には女性限定で、
「COOLCUTE」のTシャツがプレゼントされました。
・・・・「COOLCUTE」のタグは、接触冷感が0.2以上の素材につけられます・・・・
藤野さんは、同じ木材パルプから作られる再生繊維のレーヨンと
半合成繊維のトリアセテートの違いについて説明してくださいました。
両方とも接触冷感がありますが、レーヨンが水に弱いことに対し、
トリアセテートは家庭で水洗いができます。
セルロース系繊維でありながら熱セット性に優れているため
ポリエステルなどと同じようにプリーツ加工ができるのもレーヨンとの違い。
また後加工を施さずとも形態安定していることも特徴です。
・・・・ソアロン(左)と、シルク100%(右)の洗濯テスト比較・・・・
今回の展示会では2タイプの風合いと機能性を持つ
ソアロンのブランドが打ち出されています。
そのひとつが『CREPIENE(クレピーヌ)』を代表とする
「洗える・シルク調素材」です。
このシルク調素材は、“タッチ”が「ソフト&ドライ」であることがポイント。
通常の強撚糸はドライ感が強すぎてかたくなり、
デリケートな日本人の肌に合わないので
ドライタッチを出しながらもソフトな膨らみ感を出しました。
柔らかな糸を強撚にすることで実現したそうです。
もうひとつのポイントはイージーケア性です。
同じデザインのブラウスを「トリアセテート60%・ポリエステル40%」と
「シルク100%」素材で、水洗いを10回繰り返した比較を展示。
前者の縮みは「たて.07%、よこ0.0%」、後者は「たて14.3、よこ5.3%」の
変化が見られました。
・・・・シルキータッチの『CREPIENE』を使用した製品・・・・
・・・・洗い効果を出した『CREPIENE』。2013SSのカラー使いです・・・・
お客様の要望で多いのは「家庭で洗える」ということです。
いくら安く製品を買ってもクリーニング代がかさむ素材は不経済。
シルクのようなエレガントさを持ちながら、水染みが落ちないシルクとは違い
ホームクリーニングが可能で、イージーケア性があることが
ソアロンの大きな魅力です。
・・・・ソアロン(左)と麻100%(右)の洗濯テスト比較・・・・
もうひとつのソアロンの打ち出しは「便利な・麻調素材」です。
従来の麻調合繊のイメージを一新させたもので、
後染めで麻のような“カスのこし”を表現したり
本物と見間違うような麻の色調やスラブ感を出したものです。
一見すると、光沢感のある上質なリネンのようです。
天然の麻100%で気になるのは、シワや、のび・ちぢみなど洗濯による型くずれです。
特にミセス層の多い百貨店ブランドでは、この辺を気にするところが多く
それを解決したのがソアロンです。
「トリアセテート65%・ポリエステル35%」と「麻100%」の素材の
同じデザインのパンツを洗濯10回の水洗いのテストで比べてみました。
結果は前者が「たて0.2%、よこ0.0%」後者が「たて3.0%、よこ2.0%」の
縮みの結果が出ました。
シワの具合もソアロンはほどよいシワに、麻100%は大きなシワがあらわれています。
・・・・新リネン調素材の『IAS(アイアス)』。
熱セット性があるのでプリーツ加工が可能です・・・・
麻調素材では、リネンのような素材『IAS』の他、
フィラメントで綿麻素材のような膨らみ感を出した『FIROL(フィロル)』も提案。
需要が高まっている春の麻コートに対応する麻調素材です。
洗いをかけたり、見え方がナチュラルであることもあり
今年はアパレルのヤングブランドからの需要も伸びているようです。
ヤングブランドでも、多少値段は高くてもシワを気にせず持ち歩け
家庭で洗濯できるイージーケアさは魅力。
トータルで見ると、決して高いものではないと判断されてきたことが伺えます。
・・・・左はリネン調素材『IAS』、
右は春の綿麻調コート素材として提案している『FIROL』・・・・
・・・・2013春夏トレンド意識したナチュラルカラーと蛍光カラー配色・・・・
・・・・綿麻のような膨らみ感や洗いをかけたナチュラル感が、コート素材として魅力・・・・
今年2月のプルミエールビジョンに出展した人気素材のことなど
三菱レイヨン・テキスタイルの展示会のレポート第2弾も乞うご期待ください。