2012年1月25日〜27日に開催されたJFW-IFFで出会った
ハンドメイド靴工房「こうべくつ家」をご紹介します。
無造作にぶら下げられた手作りの靴の展示と
靴作家・森田圭一さんの靴作りの実演に惹かれ
取材させていただきました。
『kokochi』というブランドで、ハンドメイドの靴を作っている森田さんは
ゼベットじいさん(ごめんなさいい!森田さんはまだ30代です)のような
温かな雰囲気を漂わせています。
森田さんの作る靴は、人柄と思いがあらわれており
作家の作品に惹かれるというのは、創り手のそういう気持ちが
伝わってくるからなのでしょうね。
森田さんはミュージシャンから靴職人に転身し独立。
しかし、なかなか食べていくことができず
路上で靴を実演販売する“ストリート靴職人”などを経験しながら
現在の工房を開くまでにいたったそうです。
小さいながらも工房のほか直営ショップや、
靴のワークショップなども開催。
「こうべくつ家」のホームページで作品への思いや
靴作家になったいきさつなどもコラムで紹介されていますので
ぜひ覗いてみてください。
訪ねてみたくなる工房です。
森田さんを密着取材したテレビ番組
『生まれタルは関西♯55』
〜くつとヒトが紡ぐ物語・こうべくつ家・森田圭一〜
http://eonet.jp/eohikari-ch/roots/
くしゃくしゃの靴、しっぽのはえた靴、穴のあいた靴、
かかとがガタガタの靴…
手仕事で紡がれるものだから、ヒトが作った痕跡を色濃く残したいと
森田さんはいいます。
革の中敷きは、はき込むほどにその人の足にフィットし
革が呼吸するのでムレたりはしません。
はき心地を考えながら、そのデザインにあった素材を吟味し
製法を考えながら作るといいます。
靴の価格は4万円台〜8万円台。
デザインによりアッパーの色や配色を選べ、
靴紐やソールの色も変更が可能です。
革は水にくぐらせて柔らかくしてから、木型に合わせ
自転車のチューブで巻いてを整えます。
色々やってみて、この方法が一番良かったようです。
革を水にくぐらせて自然乾燥するのに10日ほどかかるので
1枚の革から製品に仕上げるのに約3週間といいます。
折り目のような独特のシワ感が特徴のヌメ革のバック(270mm×200mm)。
21000円でオーダーできます。納期約1カ月
靴の革の廃材を使ったアクセサリーや小物も魅力的です。
木工の作家さんとコラボして作った「みせてある(く)くつべら」5040円
上写真のバッグにかけているように、バッグやベルトにつけるチャームのように
使用して欲しいことからのネーミングです。
アクセサリー作家さんとコラボした真鍮リングをつけた「はっぱのキーリング」
「たいこのしっぽ・キーホルダー」2990円〜3990円(左写真)なども
素材に味わいがあり、愛着のわくひとつになりそうです。
ボタンのような小さな丸い部分は何枚もの革を重ねて作っているので、
万が一革が取れても次の色の革があらわれる楽しみもあるんですと
森田さんが説明してくださいました。(右写真)
この値段で出せるのも、廃材を利用しているからだそうです。
素材を最後まで無駄なく使い切る
そういうもの作りの気持ちが、遊び心のある魅力的な作品となっています。
大切に長く使いたいものばかりでした。
【Textile-Tree/成田典子】