素材の話

ボタンニストのいる、老舗のボタン専門店!

とっておきのボタン専門店をご紹介します。
銀座で創業60年という、老舗のボタン専門店「ミタケボタン」は
ボタン好きの方にとっては“憧れ”のボタン屋さんです。
銀座らしい渋い趣のあるビルの4階に、一見お店とは気づかない店構えは
老舗の自信というのか、何か大人のカッコよさを感じます。

目立たないビルですので、1階のこの看板が唯一の目印。
この“手づくり感”がなんかいい感じです。

「ここお店?」と思えるくらい入り口はシンプル。
中はボタンがびっしり!窓際の大きなボタンが
「世界一有名なボタン屋さん」といわれるNYの「テンダーボタン」の看板みたい!
そういえば1階の看板も「テンダーボタン」のロゴマークに似ているかも…
老舗の香りですね!

雑誌などで取材されることも多く、店主の小堀孝司さん(写真上)は
日本唯一の「ボタンニスト」で、業界では有名な三代目オーナー。
お客様は人気スタイリストさんから、今は希少になった
紳士服オーダー店やクチュールの洋装店、アパレルのデザイナーさん
ボタン好き手芸好きの方など、ボタンに “こだわり”をもつ方が多いのです。

小堀さんは出しゃばらず、しかしお客さんに自然に寄り添い
上手にサポートしています。
ボタンの謂れなどを聞いて、感動して、迷って迷って…
やっと数個選んでいるお客様も。

雑誌『ku:nel』の表紙を飾ったゴージャスなボタンの上に、本物のボタンを乗せて!
60年代頃のもので、今はもう作ることのできない貴重なボタンです。

この年代物のスティールのボタンケースは、初代のおじいさんの頃から
使われていたもの。中にはまるで宝物のようなボタンがザクザク!
ちょっと興奮してしてしまいます。
ボタンは常に1000種類以上はあり、さらに大小のバリエーションがあるので…
棚卸しは1カ月以上かかるとか…気の遠くなるような作業のようです。

「ミタケボタン」の7〜8割はヨーロッパの輸入ボタンです。
イタリアやドイツのボタンを中心に、紳士・婦人用の国内外の珍しいボタンや
貴重なアンティークボタンなど、まさに「宝石のような」という形容詞がぴったりな
ボタンのセレクション!

しかし、小堀さんのボタンの考えは「はじめに洋服ありき」といいます。
1点で存在感を放すボタンはそれはそれで魅力がありますが
あくまでも「洋服との調和」の中で成り立つのがボタンといいます。
「ミタケボタン」はシンプルながらも小戯れた味のある
実用的なボタンもたくさん揃えているのも特徴です。

ボタン1個にこだわるのではなく、生地の厚みや素材感、デザインなど
トータルなバランスを考えてボタンを提案できる…
それが「ボタンニスト」なのです。

小堀さんにボタンの材料になる届いたばかりのべっ甲調のアクリルボードを
見せて頂きました。これからどんなボタンにするのか考えるのだそうです。
小売りだけではなく、卸も行っており
オリジナルボタン制作や、お客様の要望によりアレンジもしています。

ボタンは単にデザインだけではなく、その歴史的背景など
知るほどにはまってしまいそうです。
とっても興味がわいてきました。
次回は少しボタンのことをお話ししたいと思います。

【Textile-Tree/成田典子】