素材の話

2013春夏・尾州マテリアルエキシビジョン(トレンドコンセプト)

日本の毛織物生産の約70%を占める愛知県の尾州産地は、
高品質なウール産地として世界的にも知られ、
中でも複合や意匠糸による素材作りを得意としています。
しかし、近年は輸入品の増加などにより産地の力が低下。
産地の活性化が図られる中、
安易な価格競争から脱却し、尾州産地本来の特徴を生かした
付加価値の高いもの作りを提案しようと
有力テキスタイルメーカー15社が結束。
「オール尾州」のプロジェクトチームで
『尾州マテリアルエキシビジョン』が開催されました。

昨年5月からスタートし、3回目となる今回の2013春夏展では
「ウール産地=秋冬素材」の固定概念を払拭しようと
綿、麻、シルクなどの天然繊維とその複合繊維を中心にした構成。
得意とする意匠糸使いのファンシー・ツイードをはじめ、
織りや編み、撚糸、紡績、原料開発など、
多方面から「夏の快適性」を追求した素材が提案され
春夏素材としても活躍する尾州産地の魅力をアピールしました。
(主催は一宮地場産業ファッションデザインセンター

トレンドコンセプトは、
ファッション情報のコンサルティング会社である
フランスのネリーロディ社が担当。
会場の中央に3つのトレンドテーマによるコーナーが設けられ
出展企業は、トレンドコンセプトをもとに開発した
テキスタイルを展示しています。
まずは、『2013春夏・尾州マテリアルエキシビジョン』の
トレンドコンセプトをご紹介します。


・・・・トレンドカラーを糸染めしたコーナーが人気でした・・・・

2013春夏のカラートレンドは、モノクロームから脱却し
ユーモアのセンスを取り戻し、ポジティブでエネルギーのある方向へ。
「カラーセラピー」のような役割の色がトレンドとして浮上しています。

(1)再生エネルギーの源となる「ホワイト」。
今シーズンを支配する重要なカラーです。
(2)平穏をもたらす「繊細なパステル」
(3)砂漠に見いだす緊張感を和らげる永遠不変の「ミネラルカラー」
(4)再生の希求となる力強い「ビビッドカラー」
エレガントなスタイルに単色で用いたり
温かみのあるベージュと組み合わせます。

1. NOMADO(遊牧民)

古代文明をインスピレーションにしたテーマ。
遊牧民(ノマド)のスピリット、スピリチュアル、
内面の休息や平和などがキーワード。
<カラー>
ホワイト系と砂漠の風景のような色調
(塩の砂漠、砂塵、砂丘などのカラー)
<素材>
カフタンやカディコットンのような手織り風自然素材のイメージ。
蚊帳風のウールボイル、洗い晒しのガーゼやクレープ、
砂粒のようなシネ効果のある素材など。

2. CANYON(キャニオン)

グランドキャニオン、アリゾナ、ユタ、アルゼンチンを舞台に、
広大な空間と野生感が漂うテーマ。
リュックス感のあるガウチョスタイル(南米のカウボーイ)などがイメージ。
<カラー>
乾燥した大地、テラコッタの色。大陽で干からびた緑と調和する。
<素材>
野性的でラスティックな風合い。スラブをイメージに、
ネップを効かせたオットマン、ひび割れ、乾燥したセラミックの風合い。

3. EASY(気楽さ)

50年代にインスパイアされた快楽的で小粋なレトロスタイル。
豪華なカルフォルニアの別荘を夢見るようなライフスタイル。
<カラー>
ノスタルジックで陽気なカラー使い。
単色使いもするが、2色使いやグラデーションがポイント。
ニュートラルな地色に、色味を遊ばせたストライプやジャカードなどで。
<素材>
着やすさと着心地の良さがポイント。
カジュアル感やストレッチ性のあるもの。
ギャバジン、キャンバス、バスケット織り、ダブルフェイス、
密度の高いものが特徴。

【Textile-Tree/成田典子】

2013春夏・尾州マテリアルエキシビジョン(素材ポイント)尾州産地本来の特徴を生かした 付加価値の高いもの作りを提案しようと 有力テキスタイルメーカー15社が結束。 「オール尾州」のプロジェクト...