素材の話

2013春夏・尾州マテリアルエキシビジョン(素材ポイント)

尾州産地本来の特徴を生かした
付加価値の高いもの作りを提案しようと
有力テキスタイルメーカー15社が結束。
「オール尾州」のプロジェクトチームで
『尾州マテリアルエキシビジョン』が開催されました。

Vol.1では展示会の「トレンド・コンセプト」を、
Vol.2では主な「素材ポイント」をお伝えします。


・・・・インデックスコーナーの素材への関心も高く、春夏のアピールも上々・・・・

「ウールの尾州産地」にとって、春夏素材の強化は大きなテーマ。
今シーズンは「夏の快適性」に工夫を凝らした
素材開発に力が入れられました。
まずは、2013春夏のトレンドとしても注目される「ファンシー・ツイード」。
リング糸やスラブ糸、フィルム糸、モール糸などの意匠糸を用い、
フィラメントとスパンの交織、カラーミックスなど
立体的で変化に富む表情感が特徴です。
春夏は綿、麻、シルクなどの天然繊維を中心に、
ポリエステル、ナイロン、アクリルなどが混合され
軽さと通気性がポイントになっています。
ラッセルツイードなどのニットツイードも多くあります。


・・・・からみ織りのファンシー・ツイード(中伝毛織)・・・・

中でも大きく浮上しているのが「からみ織り」です。
「からみ織り」は、糸をからませたり捩(もじ)ったりしながら織る
透け感のあるザックリした織物。
独特の隙間ができるので通気性に富み、
しかも糸同士が絡み合っているので
ザックリしていても糸寄りを起こすこともなく
組織も安定しています。
肌触りもさらっとしており、まさに夏素材にはうってつけ。
ツイードなどにも多用されています。


・・・・春夏注目の「からみ織り」もたくさん提案されています・・・・

トリアセテート、キュプラ、レーヨンなどのセルロース系繊維のように
繊維そのものに「接触冷感機能」を持つものや
家庭で洗濯ができるなど、手入れが簡単な
「イージーケア性」も重要なポイントです。

中伝毛織(株)旭化成せんい(株)と共同開発した『クール・ジェイド』は、
冷感接触のあるベンベルグ(キュプラ)のマイクロスパンと
クーリング効果がある翡翠の粉末を練り込んだナイロンとの複合素材。
二重のクーリング効果で、冷感性の持続力が抜群に高くなり
しかもソフトなタッチという特徴があります。


・・・・中伝毛織と旭化成せんいがコラボした『クール・ジェイド』・・・・

着心地の良さ、イージーケア性、クーリング効果という観点で、
丸編みや経編みのニット素材も増加。
キュプラやビスコース、テンセルなどの複合素材などで提案しています。


・・・・セルロース短繊維と組み合わせたハイゲージニット。
後染めでもトップ染めのような表現を持つものも提案(中伝毛織)・・・・


・・・・ビスコースと綿のブレンド。ソフトで品のいいドレープがあり
ドライタッチの生地に仕上がっています(中伝毛織)・・・・

旭化成(ベンベルグ)、三菱レイヨン(トリアセテート)、レチング社(ビスコース)など
原糸メーカーとコラボして糸から開発したり、
異素材の混紡、交編、交撚などの複合素材で付加価値をつけた
尾州産地の春夏素材が注目されます。
オリジナリティのある魅力的な高品質素材が評価される一方で
やはり少し高い価格面の懸念も拭い去れないようですが
それを乗り越える「価値」があるとのアパレルの声に期待も高まっています。

【Textile-Tree/成田典子】