素材の話

高速織機の「疑似耳」

一昨日、ブログに「高速織機に耳がない」と書いたところ
中伝毛織(株)の中島副社長が、
現在はレピア織機にネームジャカード装置を取り付けて
ションヘル織機のような「耳ネーム(耳文字)」を織り込んだものが
あると教えてくださいました。

「積極レピア」という織機のようで
まだ、詳しくは分かりませんが、かなり汎用性があり
「捨て耳」などのロスも少ない革新織機のようです。

高速織機で織った生地は、耳部分が切断されるため
耳部分のよこ糸はフリンジのような状態になり
これを「房耳(ふさみみ)」といいます。

高速織機に「タックイン装置」を取り付けて
「房耳」のよこ糸を中に折り曲げて織り込み
シャトル織機のような「耳」を作ったものがあり
これは「タック耳」と呼ばれています。

一般的に織物の「耳」は、服を作るときは
裁断され捨てられてしまうことが多いのですが
なかにはデニムのように「耳」を無駄なく使ったものや
テーラーなどでは「耳文字」をひとつのブランドステイタスとして
腰裏や裾裏にそのまま使います。

デニムでの「セルヴィッジ」ブームのように
今の時代、「耳」のある生地は
「低速織機で丁寧に作られたいい生地」という
イメージがあるのでしょうか。
耳のない高速織機にわざわざ「耳」を付けることを知り
驚きました。