編集長ブログ

両口屋是清『いとをかし』

名古屋の老舗和菓子店、両口屋是清が発行している『いとをかし』という季刊誌があります。無料でお客様に差し上げているB5版・24Pくらいの冊子で、和菓子にまつわることばかりではなく、日本文化に焦点を当てた特集など、とても丁寧につくられています。

数年前、友人が送ってくれ、「いい冊子だなあ」と思っていました。私が『つなぐ通信』とうフリーマガジンを制作していることもあり、きっと参考になればと思ったのでしょう。最近、新しいPR誌を企画しようと思い、ふと『いとをかし』を思い出しました。調べたら両口屋是清のHPからバックナンバーが手に入るようなので、9月月末頃申し込みました。

20冊ものバックナンバーに感激!

数日後、郵便受けを見てびっくりしました。なんと両口屋是清の分厚い封筒が4つも、はち切れんばかりに突っ込まれていたのです。

「あっ、手違いで同じものがたくさん送られてきた」

そう思って封を切ったら、もっと驚きました。なんとバックナンバーが5冊づつ、計20冊も送られていたのです。しかもご丁寧に手書きのお手紙が添えられていました。広報の近藤さんという女性からでした。それによると、2019年のVol.32で一旦休刊としますと書かれていました。2018年に休刊となった『つなぐ通信』の編集長としては、とても人ごととは思えませんでした。おそらく、欲しいというかたには、できるだけ差し上げたいという気持ちだったのではないでしょうか。『いとをかし』が、忘れられることのないように、できるだけ配布したい。私ならそう考えます。

いとをかし
https://www.ryoguchiya-korekiyo.co.jp/magazine/

※今回バックナンバーをたくさん送っていただいたのは、たまたまで、全ての方にこんなにたくさん送ってくださるわけではないと思います。ご迷惑がかかるといけないので、念のために・・・

380年以上続く和菓子店の心に響くまごころ

あまりに感動したので、広報の近藤さん宛てにお礼のメールを差し上げました。そうしたらとても丁寧なお返事をいただきました。10年ほど「いとをかし」の制作に携わっていたそうで、「私自身の和菓子に対する知識はもちろんですが 、和菓子文化を支えて下さる様々な思いを知りとても有意義な時間でした」 「休刊は担当としてとても残念で寂しいですが、 新たな発信スタイルを考えまたいつか皆さまにお届けできるよう頑張ります」とありました。ぜひ、復活していただきたいものです。

ネット注文の時代になり、マニュアル的なメールがあたりまえになっていますが、バックナンバーを申し込んだだけなのに、これほど丁寧な暖かい対応をしてくださることにとても感動しました。両口屋是清は1634年(寛永11年)城下に創業した、380年以上続く和菓子店です。老舗店ならではの、アナログ的なふれあいを大切にされている会社なのだと思いました。

両口屋是清の「銘菓詰合」は、根強いファンがいる昔からずっと変わらない和菓子です。私も以前はお仕え物に利用していたのですが、最近は目新しいよそのお店のお菓子に目が行き、すっかり忘れていました。しかし、こういう丁寧な対応をしいていただくと、すっかりファンになってしまい、これからはずっと利用しようと思ってしまいます。人の心というのは、そういうものです。380年以上も続く和菓子店というのは、味だけではなく、きめ細かな心配りがお客様の心に響くのでしょうね。「伝統にまごころを込めて」というコピーが、決して形だけではないというのを感じます。名古屋のお店にも伺ってみたいものです。

両口屋是清
https://www.ryoguchiya-korekiyo.co.jp/about/