「シャトル織機」をご存知ですか。
よこ糸を内蔵したシャトル(「杼=ひ」ともいいます)を使い
糸を左右交互に打ち込んで製職するものです。
産業革命の先駆けになった画期的な織機ですが
スピードの限界があるため現在は「レピア織機」など
シャトルを使わない高速織機が主流になっています。
この時代遅れともいえる「シャトル織機」の良さが
いま、見直されてきているのです。
カヌーのような船型がシャトルです。
穴の中によこ糸を巻いたボビンを入れ
たて糸の間によこ糸を通して織り上げていきます。
木の材質と形が何ともいえぬ暖かみがあります。
(この写真は麻の老舗の「林与」さんの林社長が、
このブログのために朝早く写して送ってくださいました!感激です…)
「林与」さんのシャトル織機です。チェックの生地の上にシャトルが見えます。
先日NHKの「美の壷」で「背広」というテーマで
背広のヴィンテージ生地を織っている
愛知県・一ノ宮の工場が紹介されました。
https://www.nhk.or.jp/tsubo/program/file187.html
昭和20年ころに作られた「低速織機」で織り上げるのですが
それが「シャトル織機」です。
高速織機が一日200m織り上げるのに対しシャトル織機は8mといいます。
生産性としてはものすごく効率が悪いのですが
時間をかけて織るこの「遅さ」が
生地にふっくらと空気をまとったかのような
自然な膨らみをもたらし暖かみのある風合いを作り出すのです。
いま、このヴィンテージクロスが
静かなブームになっているようです。
いいウールは古くなると味が出て、服がだんだん良くなってくる…
とにかく長持ちするのだそうです。
そのウールの良さを引き出してくれるのが
ヴィンテージクロスなのです。
近江の麻の老舗の「林与」さんも
シャトル織機の良さを見直している企業のひとつです。
アイリッシュリネンのプロジェクトをはじめ
ストール、繊細な細番手、丈夫なリネンタオル用など
いろんな種類がシャトル織機で織られています。
林社長が語ってくれたシャトル織機の魅力を
次回お話しします。