日本のニット産地のニッターさんや糸屋さんが集結し
世界に向けて「日本ブランドを発信」する展示会
「ジャパン・ベストニット・セレクション3rd Edition」(以下JBKS)が
12月7・8日に開催されました。
アパレルと違い、産地のニッターさんは地味な存在で
しかしニッターさんが支えてくれているからこそ
アパレルは一緒に取り組みいい製品を作ることができていました。
ところが「価格主義」の時代になり、生産は中国などへ移り始め
日本のニッターさんはせっかく素晴らしい技術を持ちながらも
廃業せざるを得ないところが続出。
「昔はニッターのおじさんが根気よく編み地を作ってくれたので
いろいろ実験しながら新しいものが作れていたのよ」と
ニットデザイナーの友人が話していました。
アパレルのニットデザイナーさんは何度も産地に通い
ニッターさんとコミュニケーションしながらニットのことを学び
一人前のニットデザイナーに育っていくのだといいます。
つまり、ニッターさんは若いニットデザイナーの
「教育係」でもあったのです。
現在はそういう物作りはほとんどできない状態。
中国生産では1stサンプルで商談をしなければならないことも珍しくはなく
しかも最近の若いニットデザイナーさんは
産地と密に付き合う機会も少ないため
ニットのことを良く知らない方も多く
「サンプルを買ってきて、デザインを指示すると
製品が出来上がると思っているのよ…」と友人は嘆いていました。
糸の種類、ゲージの太さ、編み地など
何しろ布帛と違いニットは糸の段階から…
つまり素材から作り上げていかなければならないものです。
単なるデザインだけではなく、経験がなくてはいいものが作れないのです。
そんな背景を持ちながら、今回のJBKSは、国内の物作りはおろか
中国生産もままならなくなってきたニット業界での合同展です。
「MADE in JAPAN」が見直されてきたこともあり
会場はかなりの人で賑わっていました。
「すごい人でした…最近はあんなに混んでいる展示会はなかなかないですよね。
社長や工場の二代目が同い年くらいの人が多くなってきて
少しずつ私たちの世代に代わっていくのを感じます。頑張り時ですね。」
そう語る『yourwear』の佐藤さんの言葉に次世代への明るさを感じました。
取材の様子は次回お伝えします。