素材には「アイリッシュ・ポプリン」「アイリッシュ・リネン」
「アイリッシュ・クロッシェ・レース」「アイリッシュ・ツイード」
「アイリッシュ・キャンブリック」など
「アイリッシュ」と名の付いた素材も多く見られます。
「アイルランド」は古くからケルト人の住み着いた
宗教観や精神性の高い土地であり、
ヴァイキングの侵入、イギリスによる植民地化、
南北アイルランドの分割など、侵略や支配を受けながらも
圧政に抗し続けた国でもあります。
16世紀のイギリス支配下では、
ケルト人の話すゲール語や踊ることを禁止されました。
アイリッシュ・ダンスは、
上半身を動かさず足だけで踊るステップダンスですが
窓を通して外から見た時に、
踊っていることを悟られないように考えられた
ダンスだといいます。
2009年の山田太一監督のドラマ『ありふれた軌跡』で
主演の加瀬亮さんが、このアイリッシュ・ダンスを
踊っているシーンがありました。
まさに「どうにもならない抑圧に負けない静かな抵抗」
という象徴的な演出です。
ちなみにドラマの主題歌はアイルランドの歌姫エンヤでした。
・・・・『テキスタイル用語辞典』より・・・・・
また、アイルランドには宗教弾圧で亡命してきた
ユグノー(カルヴァン派の人々)も多く移り住みました。
もの作りの技術能力が高いユグノーを
イギリスが積極的な保護したという背景もあります。
熟練工のユグノーは毛織物、絹織物、リネンなどの
優れた技術をイギリスやアイルランドにもたらし、
前述した「アイリッシュ・ポプリン」「アイリッシュ・リネン」などを
生み出すこととなりました。
「アイリッシュ・クロッシェ・レース」が有名になったのは
アイルランドの「ジャガイモ飢饉」が切っ掛けです。
テキスタイル誕生には、宗教や政治などの
歴史的背景や逸話があります。
素材に興味のわいた方は『テキスタイル用語辞典』も
ぜひご覧ください。
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文:編集部Kazumi