今年も文化学園の文化祭(11月2日〜4日)がやってきました。
お目当てはもちろんファッションショー。
文化学園大学の「FUSE」のショー、
そして圧倒的な実力と人気を誇る文化服装学院のショーです。
・・・・今年の文化祭のテーマは「〜糸、美し。〜」エントランスには
糸巻き、百人一首のような雅な演出。ファッション校らしい和歌が
微笑ましいです・・・・
文化服装学院のショーのテーマは
『energy FLOW 巡る、流れる、湧き出る。』
ファッションの流れを大きく揺り動かすようなエナジーを
表現しようというものです。
3日間で17回の公演、毎年来場者2万人以上という
文化服装学院のショーは、毎回お客様でびっしり。
会場内もエナジーが溢れていました。
今年のパンフレットは、スポンサーや協力企業をきちんと
明記しているのがいつもと違っていました。
どのテーマにどういう企業が生地を提案しているのかが
わかるようになり、住所等も表記されています。
双方にとってメリットがあるように編集することは大事だと思います。
また、「様式美」を感じさせるようなショーの演出や構成も印象に残りました。
・・・・・ホログラム表紙のショーのパンフレット『energy FLOW』
先日の『IFFT/インテリア ライフスタイル リビング』で提案されていた
「Heimtextil TRENDS 2013/2014 Preview」のトレンドブックの表紙も
ホログラムでした・・・・
『matsuri』
中国獅子舞のような演出で始まり、ワクワク感を引き出します。
アジアのエキゾチックな祭りを思わすような衣装。
花やタッセルなどひとつひとつの装飾ももちろん手づくり。
『Charm Doll』
着せ替え人形のように着飾ったバービー人形がイメージ。
ピンクと黒で“小悪魔的”な魅力を出しています。
『Clear Sky』
白のシャツ地で構成されたテーマ。
今すぐにでも着たいようなリアルクローズで
ショー終了後の「この服が好き」と話している学生さんの声も。
『Coexistence』
「共存・共生」を意味するテーマ。
デニムカジュアルで、ネイティブアメリカンや
ヒスパニックを思われる要素を取り入れたスタイル。
『sabbat』
アンチの存在、闇の存在を表現したテーマ。
帽子などアートクチュール要素の高い作品です。
ちなみに「sabbat」とは、
「魔力および魔術を練習する魔法使いの真夜中の会合」のことのようです。
『brimming』
液体、気体、ガラスなど、様々な内容物を含む鉱石がテーマ。
これをラメニットで表現したコンセプチャルな作品。
微妙な色使いも美しく、すべてにおいてクォリティの高さを感じます。
『fluff moppets』
「少女よ、旅に出なさい。綿毛になって飛んでいきなさい」と、
テーマで語る世界がとっても伝わってくる作品。
小柄なモデルさんばかりで構成された、意表をつく演出も好印象。
『One Man Show』
このまますぐにブランド化できそうな、メンズのエレガンスカジュアル。
遊びのあるバッグの提案も。
『直線・曲線』
構築的なフォルムを作りやすいメタリックな素材で、
造形美を表現したモダンアート作品。
ひとつひとつをオブジェとして飾っておきたいような完成度の高さです。
『MaTpëıııka』
「マトリョーシカ」をテーマにした作品。
オリジナルの柄で織り上げた「シェニール織り」の素材で、
マトリョーシカのように、たくさんのデザインバリエーションを見せています。
特にアクセサリーや靴が素晴らしく、
装飾的な素材をさらに立体的にゴージャスに彩りしています。
文化学園は、文化服装学院、文化学園大学、
文化ファッション大学院大学、文化外国語専門学校があります。
大学は昨年より男女共学になり、
また “国際化教育”にも力を入れるなど、男子学生、留学生を
積極的に受け入れています。
キャンパスで韓国語や中国語が飛び交うのも
当たり前のようになりました。
今回のショーには、いつもは必ず見られる
「和」のテーマがありませんでしたが
中国風の祭りや、エスニックのテーマが出てくるのも
自然の流れなのかもしれません。
また、帽子やアクセサリー、靴など専門科の制作も加わるので
完成度の高いトータルな表現ができています。
・・・・ショーが終わったあと会場から出てくるたくさんのお客様。
このあとショーの素材やデザイン原画の展示室を見学するお客様も多く、
興奮の余韻を感じられました・・・・
学生や先生たちはこのショーのために、そうとう前から準備しています。
また、平行して「なら100年会館」とのコラボのファッションショーを行ったり
映画やドラマ、イベントのための衣装制作も行っています。
中にはコンテストに応募する学生さんもいます。
毎日が課題や制作に追われる毎日ですが
こういう実践を積んで社会に出られることは大きな強みとなります。
服をつくることだけではなく、演出、スポンサーとの交渉、そしてモデル体験…
イベントを通じで生まれる仲間との絆…
これからのクリエーターはトータルな面で演出できることが求められます。
ぜひ、この大変さを楽しさに変えて、乗り越えて欲しいものです。
すべては自分の財産となりますから。
今年もいいショーを見せていただき、ありがとうございました。