編集長ブログ

深く静かに響くソウルフルなミュージシャン!イ・チャンソルの魅力

『梨泰院クラス』の「Still Frighting it」

2019年に韓国のJTBCで放送されたオーディション番組「SUPER BAND」は、世界で活躍するバンドを目指す「音楽天才たちのバンド結成プロジェクトで、かなりレベルの高いミュージシャンが参加していた。前回のブログで紹介したケビン・オーもそのひとりだが、YouTubeでいろいろ見ていたら、その歌声に一瞬で心を掴まれたミュージシャンがいた。ぜひ紹介したい。

彼の名前はイ・チャンソル。ドラマ『梨泰院クラス』のOSTのPart1「Still Frighting it」のミュージシャンといえば、ご存じの方も多いはず。「Good morning, son・・・」で始まる、吐き出すような悲しげな声は、このドラマの衝撃的な1話を物語るようで、心に沁みてくる。『梨泰院クラス』のOSTは実に秀逸で、主人公の深い悲しみと、逆境から立ちあがろうとする強い信念が、高いレベルで構成されており、私のFavoriteアルバムのひとつとなっている。

「Still Frighting it」は、アメリカのベン・フォールズの歌をイ・チャンソルがカバーしたものだ。ベン・フォールズが、幼い息子のために歌ったもので、父親の思いが語られていて、優しさが溢れている。イ・チャンソルの歌は、穏やかなスタートではあるが、中盤から信念と魂が込められているかのように力強さが増していく。ドラマでは父親を突然亡くした主人公(パク・ソジュン)の、悲しみと怒りのシーンでこの曲が流れる。

叙情的で魂に響く声の魅力と「SUPER BAND」の絆

イ・チャンソルの魅力もこの“声”にある。少しかすれていて・・・しかし、ケビン・オーのような透明感のある心地よさではなく、叙情的な感性があり深く魂に響いてくる声なのだ。琴線に触れてくる繊細さを持ちながら、力強い歌唱力がある。

イ・チャンソルは1989年生まれ。ケビン・オーより1歳上だ。デビュー前は、ストリートミュージシャンのスターとして有名だったらしい。路上ライブを通じて、彼のソウルフルな歌声が培われたのかもしれない。「SUPER BAND」で“最も魅力的な声”との評価もあったという。「SUPER BAND」では、予選、本選ラウンド、決勝ラウンドと進む。予選で初登場し、審査員の絶賛を浴びたのがColdplayの「Everglaw」だ。目を閉じてじっくり歌い込むイ・チャンソルの世界観にどんどん惹き込まれていく審査員の表情が印象的だ。自分の生き様が自分の歌に表れていると彼はいう。

本選の2ラウンドで演奏されたのは「Skyfall」。Adeleが歌った『007スカイフォール』の主題歌だ。イ・チャンソルは、バンドチームを組んで、パワフルに仕上げた。

本選の4ラウンドは、『梨泰院クラス』のOSTとなった「Still Frighting it」を演奏し、審査員をはじめ視聴者を魅了した。

ちなみに「SUPER BAND」では、ケビン・オーのチームとイ・チャンソルのチームは準決勝で敗退し、5位と6位だった。しかしこのレベルになると、あまり優勝、準優勝など勝敗は関係なくなる。この上位チームのスタープレイヤーが一同に集まって、すばらしいコンサートをしている。まるでドリームオーケストラともいえる大演奏会だ。全員楽器演奏しているのがすごい。心から楽しんでいる。彼らは「SUPER BAND」で出会った演奏者たちとバンドを結成するなど、絆が深まったようだ。イ・チャンソルは、「ともに生きるべき良い友人」「お互いに応援し合い尊重する関係」と語っている。ケビン・オーも「SUPER BAND」に参加した大きな目的を「仲間を探したかった」と答えている。歌とダンスのK-POPばかりが目立ち、韓国ではメインストリームになりにくかったバンドだったが、クォリティの高さを見せつけ、若者に音楽の可能性を広げてくれたようだ。

前列のアコースティックギターのメンバーの息ぴったりの演奏が実に素敵だ!⬇️

大演奏バンドのステージ全体の様子がよくわかる!⬇️

最後に、イ・チャンソルの魅力満載のOSTのプレイリストがあったので・・・最後まで彼のソウルに惹き込まれていく。⬇️

【Textile-Tree/成田典子】