編集長ブログ

障がい者・高齢者「人はなぜ働くのか」の答え

社会福祉法人藍が発行している『藍の風』の7号が届きました。理事長の大野圭介さんが、巻頭で『「福祉」が「利益」を追いかけるのは間違いか?』という文章を書かれています。とてもいい話なので少し紹介したいと思います。(福)藍では、障がいのある方が働いているレストラン「アンシェーヌ藍」や、織り・染め・手芸などを制作している工房「ファクトリー藍」などを運営し、障がいのある方の支援をしています。レストランでは本格派のフランス料理のメニューなどもあり、工房では藍染・さをり織・刺し子などの製品が高い評価を得ています。障がい者の皆さんには、きちんとした給料や賃金が支払われ、収益もありビジネスとしても成り立っています。もちろんここまでたどり着くには大変な努力があり、現在もそれは続いています。

つなぐ通信』では、2013年冬号(Vol.04)で、アンシェーヌ藍と藍工房(当時の名前)を取材させていただきました。(福)藍を設立し、レストランや工房を開設したのは、当時の理事長・竹ノ内睦子さんです。「障がい者が、夢を持てる仕事や職場を作りたい」という、強い思いが数々の奇跡を起こし、こうして実現しました。その竹ノ内さんを支えてきたのが大野さんでした。現在は竹ノ内さんの志を受け継ぎ、理事長として尽力しています。

『藍の風』7号より

人はなぜ働くのか?

大野さんは、アンシェーヌ藍のマネージャーだった頃、従業員の皆さんが、忙しくても「楽しい」と言って一生懸命に働いてくれるので、「人はなぜ働くのか?」と素朴な疑問を持ちました。その答えとなったのが、日本理化学工業(株)の会長だった大山康弘氏の、下記の言葉だったと言います。

「人間の最大の幸福は『人に愛されること』『人に褒められること』『人に必要とされること』『人の役に立つこと』。そしてこの4つは、すべて「仕事をすること」で得られます。だから人は働くのです」

「働く=働かされる」という考えを持つ方もいます(特に海外では多いように思います)。仕事は、責任感を伴うし、我慢を強いられたりストレスを感じることもあります。しかし「自分の居場所がある」ということは、生きる上でとても大切なことです。障がいを持っていても、できること・得意なことがあります。高齢者は身体能力が低下しても、身につけたスキルがあります。これらを上手に活用し、ちょっとずつ努力しながら「仕事をすること」で、人は喜びを感じ、幸福へと導かれるのでしょう。たとえそれがひとつだけだとしても。そう感じながら仕事をしていることに、心から感謝だと思わせていただきました。

『つなぐ通信』Vol.04(p10-11)
『つなぐ通信』Vol.04(p12)