2011春夏コレクションの素材トレンドでは麻や綿が大きく浮上し
シンプルでありながらモダンなフォルムを作る
「ハリ感・膨らみ感」が重要になっています。
一方では風をはらむ、分量感たっぷりの「エアリーな素材」や
「ドレープ感」のある素材も見逃せません。
今シーズンのボッテガ・ヴェネタの代表作の一つに採用された
エアリーな素材は、なんと日本製の「羽二重(はぶたえ)」です。
といってもこれはシルクではなくポリエステル。
どこのメーカーの製品かはわかりませんが
「HABUTAI」として提案されています。
羽二重は日本の代表的な高級絹織物で
古墳時代から織られていたともいわれ
「HABUTAI」の表記は既に国際用語として認知されております。
特に羽二重の中でもエアリーな軽目の羽二重が珍重され
明治から大正にかけては日本の特産品として盛んに輸出されていました。
この軽目羽二重の産地が福島県の川俣(かわまた)なのです。
欧米では「KAWAMATA」と言えば軽目羽二重をさす言葉として
定着しているほどです。
実は先日、川俣の「福島県絹人繊織物構造改善工業組合」さんから
『テキスタイル用語辞典』で使わせて頂く
絹のサンプル生地を送って頂きました。
普段なかなか「本物の高級絹」にふれる機会は少なく
その美しさには本当に驚きました!
まさにエアリーという言葉がぴったりな羽二重のしなやさ
サテンの品格のある強い輝きが、ポリエステルとは全く違いました。
絹がこんなにも美しいものかと本当に驚きました。
写真ではお伝えしにくいのですが川俣産地の羽二重とサテンです。
昨今、価格の安い生地にばかりに企画が走りがちですが
こういう「本物」を、一つは大事に持ちたい!
そう思わずにはいられない体験でした。