若狭の美浜町早瀬のあたりでは、カワハギを「こぐり」と呼んでいます。
「こぐり」にもいろんな種類があるようです。
弘子姉さんの作品を見てそれがわかりました。
一般的に顔の長いものは「ウマヅラ」と呼ばれていますが
顔の短いもの、少し角張ったもの、派手なまだら模様のものなど
本当にたくさんの種類があります。オスとメスでも違うようです。
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『こぐり』:海の中をこぐりが群れをなして泳いでいるような作品です。
一匹だけ群れに逆らって泳いでいるのがいます!
私の好きな作品です。
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人には“ボロ裂”に見えるものでも
弘子姉さんにとっては“宝の裂”になります。
下地になっている藍染めの刺し子の布は
ご近所の方が捨てようとしたものをいただいたものです。
縁起のいい卍(まんじ)を連続柄にした
「紗綾形文様(さやがたもんよう)を縫い取ったもので
風呂敷だと思います。
あまりにもあちこちに継ぎ当てがあるので
「恥ずかしい」といって断られたようですが
そこをなんとかお願いしていただいたといいます。
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弘子姉さんの作品には継ぎ当てや継ぎはぎ
繕いのある端切れが多くあります。
昔の方は、ものを大切に使い
最後の最後まで捨てようとしないので
継ぎや繕いの表現や技術が発達したのでしょう。
新品では出せない、とてもいい味わいとなっているのです。
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魚が水揚げされ、活気があった早瀬市場でしたが
2009年に廃止され敦賀市場に統合されました。
このことも弘子姉さんをはじめ
地元の方たちの元気をなくしているようです。
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市場の前にある魚屋が地元の方が利用する「マルテ」こと寺川商店。
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純造兄さんは私たちに食べさせるために、
こぐりを一箱買ってくれました。
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一番大きなこぐりを一匹頂き、お昼にお刺身にしました!
こぐりの皮はとてもかたいのですが、
こんなにきれいに剥がれるのです。だから「カワハギ」
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夜はまたしても弘子姉さんの手料理をごちそうになりました。
弘子姉さんのこぐりの刺身は薄造りではなく、身厚で贅沢に!
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こぐりとスズキのアラを炊いたものです。こぐりの胆もたっぷり!
食べ過ぎると鼻血が出そうなくらい濃厚です。
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弘子姉さん自慢の鯖鮨も振る舞ってくれました。
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沢庵を炊いたもの。これが美味しいのです!
早瀬はお魚をはじめ、何を食べても美味しい!
一説には、昔は京都に奉公に行く人が多く
そこで行儀や料理を身につけてきたからとも言われます。
素材が新鮮なだけでなく、
空気や料理する人のハートもいいのでしょうね!