小説好きの20代の女性を主な読者層にもつ
小説ファン・ブック『かつくら』が
『テキスタイル用語辞典』を紹介してくださいました。
どうして小説ファン誌に『テキスタイル用語辞典』が…と
不思議だったのですが
『かつくら』の読者さんは、手芸好きの方が多いとのことを伺い
“なるほど”と納得するとともに、その意外性に驚きです!
『かつくら』は、かつては『活字倶楽部』といい
その名の通り、活字好きの小説ファン誌としてスタートしました。
小さな活字で埋められたモノクロ中心の季刊誌ですが、
誌面には漫画の露出度が実に多いのです。
・・・『かつくら』2012春号・・・
紹介しているのは「ライトノベル」「少女小説」、
「ファンタジー」「SF」「サスペンス」「ミステリー」「ホラー」、
BLと呼ばれている「ボーイズラブBOYS LOVE」などの
若い女性読者が多いジャンル。
この分野は、漫画(コミック)と連動しているものが圧倒的で
小説でも表紙や挿画は漫画がほとんどであることに
あらためて気がつきました。
そういえばテレビドラマも原作の多くはコミックからです。
「恐るべし日本のコミック文化!」
たしかに小説(ライトノベル)…コミック…手芸…のファンには
共通点がありそうです。
「手軽」「夢」「オタク(熱中・没頭)」というキーワードが見つかり
現代社会のトレンドになっているのも新しい発見です。
手軽に夢と知識を得ることができ
この世界に浸っていることで心地良い幸せを感じるのでしょう。
『かつくら』の「かつくらコミック調査隊」のコーナーでは
BLでもファンの多い人気漫画家、雲田はるこさんの
インタビュー記事が掲載されています。
2012年本屋大賞一位となった『船を編む』の帯や挿画も
雲田はるこさんによるものでした。
・・・三浦しをんさんの『船を編む』の帯は
漫画家漫画家の雲田はるこさん。
5月現時点で売り上げは38万部突破のようです…
ふだん、私はベストセラーや大賞をとったからといって
その本を読むことがほとんどありませんが
『船を編む』が、出版社の辞書制作の話しとなれば別格です。
早速、本屋さんで購入して購読しました。
舞台は大手出版社の辞書編集部らしく、
花形部門でないにしても
専任の編集者と専門家の先生でコツコツ国語辞典を制作。
編集アシストや校正にもアルバイト学生を
たくさん使っているという内容に少しうらやましさを感じました。
制作に没頭できるのは本当に幸せです。
『テキスタイル用語辞典』はようやく出版できましたが
辞書作りの編集部としても産声を上げたばかりです。
Textile Treeは、テキスタイルや
ファッション関連の辞書制作が主となりますが
この分野は編集のほうもなかなか専門家がおらず
現代にふさわしいきちんとした辞書がまだできていません。
ファッションの隙間産業といっていいでしょう。
『船を編む』は、私にとってもいい刺激をもらった小説でした。
Textile Treeも玄武書房の辞書編集部のように
今の時代にあった、わかりやすく面白い辞書作りを
「コツコツと頑張っていこう」と!
もしかして私の辞書作りにも
「手軽」「夢」「オタク(熱中・没頭)」のキーワードが
当てはまるかもしれません。