編集長ブログ

渡辺弘子の布絵の世界Vol.10『たずね鳩』

弘子姉さんの作品に、数字や文字が縫い込まれた
不思議な作品がありました。
何の暗号かな…と思って、話しを聞いたところ
この作品にはちょっと感動する物語があったのです。


・・・・『たずね鳩』:平成9年(1997)の作品(30×37cm)・・・・

15年前の話しですが、弘子姉さんは家の前で
鳩が死んでいるのを見つけました。
伝書鳩のようで、脚には登録番号を入れた金属の輪が付いていました。
近所の方に聞いて回りましたが、飼い主はわかりません。
「きっと誰かが探しているはず」と思い
伝書鳩の姿や登録番号を作品に留めました。

・・・・鳩に使われているのは知り合いの蔵から出てきた裃の小紋です。
サムライの裃として発展した「江戸小紋」で、白抜きの細かな模様が特徴です。
なかなか手に入るものではないと思います・・・・

・・・・平成9年の3月に鳩を発見し、すぐこの作品を制作しました。
登録番号はJPN VBO 6015/2231 833・・・・

『たずね鳩』は作品展の度に出品しましたが、
未だ飼い主はわからずじまい。
伝書鳩は裏山に丁寧に埋め、
お線香とお花を手向けてあげたということです。

・・・・弘子姉さんの裏山の近くには瑞林寺があります。
お地蔵様にも守られていることでしょう・・・・