もうひとつの私の「ボロ」は、母が編んでくれた毛糸の靴下カバーです。
古いセーターをほどいて、毛糸2本どりで編んだものです。昔は、手編みや家庭機で編んだセーターは、ほどいて何回も再利用されていました。子供の頃は母がセーターをほどいた毛糸を両手にかけて、綛(かせ)を作る手伝いをしていたものです。
⬆️ほどいた毛糸は弱いので、2本どりで編んでいます。
母がこのカバーを送ってくれた時は、私もまだ若く、冬に履くことはありませんでしたが、やはりある程度の年齢になったら、冬になると足の冷えに悩むようになりました。そこで思い出したのが、長い間眠っていた母が編んでくれた靴下カバーでした。実に暖かく本当に重宝しました。しかし、すぐ擦り切れて穴が空いてしまいます。母は数枚の靴下カバーを編んで私たち姉妹に送ってくれていましたが、母が履いていたのは、継ぎや接ぎのあるものでした。どうして新しいものを履かないのかなあと思っていましたが、今になるとよくわかります。「もったいない」だけではなく、きっと愛着があるのでしょう。足に馴染んでいるということもあると思います。私も母のように繕って履こうと思いました。
⬆️つぎ当てに使っているのは、母が買ってくれたユニクロのフリース。
⬆️このカバーはほとんど履いていないので、綺麗なままです。
繕いの当て布に使ったのは、母が私に買ってくれたユニクロのフリースです。これも擦り切れるまで着たものですが、捨てられなくて持っていました。これが当て布にちょうどいいのです。自分的にはなんかいい感じです。今風のお洒落なルームシューズではなく、お見せするのは恥ずかしいのですが、デザインの価値を超える、私の宝物のひとつです。