素材の話

今の暮らしにちょうど良い、荒物問屋「松野家」の日用品

2012「Interior Lifestyle Tokyo」で気になったアイテムを
シリーズでご紹介します。
松野家」は1945年創業の荒物問屋です。
「荒物(あらもの)」とは、ほうき、ちりとり、ざるなど、
昭和まではどこの家にもあった簡単な作りの日用品のことです。
築地にいくと、この荒物屋さんを見かけることができますが
今では商店街でもなかなかお目にかかることはありません。


・・・・トタンのバケツ、シュロのたわし、洗濯板など、
懐かしい暮らしの道具が至る所にびっしり!・・・・


・・・・和ぼうき、シュロぼうきも目的や地域により様々な形が・・・・

「大量生産ではない、美術工芸品でもない、
町工場や農村の職人たちがつくる素朴な日用品。
なるべく自然の素材で
求めやすい価格、そして使い勝手がよい。」

という、パンフレットの表紙の言葉がすべてをいい表わしています。

・・・・町工場や農家の副業として作られていた暮らしの道具・・・・

民藝」とある意味では通じているところもありますが
民藝が「民衆的手工藝品」とすれば、
荒物は「民衆的手工業」から生まれる、
普通の人々の暮らしに根差した日用の道具だといいます。


・・・・手前はアルマイト(アルミ)のおろし金、バット、プリン型です。あったよね!!
右奥は長く愛されているスタンレーの魔法瓶。一生ものです!・・・・


・・・・日用品は日本製だけではなく、アフリカやアジアのかごや雑貨もあります。
これは韓国のマッコリ用のアルマイトのコップ。
日本ではキャンプ用に使われているようです・・・・

・・・・江戸初期からの伝統を持つ、渋紙を貼った「丸亀の渋うちわ」。丈夫です・・・・

・・・・炊きたてをおひつにいれると、ふっくらツヤツヤに!
さめてもご飯がおいしい・・・・


・・・・熱に弱いことからプラスチックに取って代わられ、
すっかり姿を消したセルロイド。実は微生物で分解され土に還る生分解性がある・・・・

「松野家」がセレクトする商品や、商品を説明する言葉は
日用品への愛情で溢れています。
国内やアジアの町に直接足を運び
町工場や閑散期の農家などで作られる日用品を仕入れたり
理想の商品への“思い”が、オリジナル商品の開発へと繋がっていきます。


・・・・松野家のカタログやパンフレットは、道具への愛がいっぱい!
写真もコピーもジワ〜と染みてきます。右は農作業用につくられた
「ダイイチゴムの長靴」。
ぬかるみでも脱げないようにバックベルトで締める事ができます・・・・


・・・・右は蔵前のトタン工場で一点一点手作りしている「トタン米びつ」。
軽く耐久性が高く、収納ボックスとしても利用されています・・・・


・・・・機能的で、使い込むほどに良くなる鞄を作りたいと、
「道具としての鞄」を追求したオリジナルブランド「PLAIN」の帆布鞄。
細部にわたり工夫を凝らしています・・・・

ひとつひとつが懐かしく、しかし決して古びていない
普遍的な美しさと使いやすさをもつ、
生活を豊かに彩ってくれる「暮らしの道具」です。