新生歌舞伎座のオープンが話題になっていますが
ふと、3年ほど前に行った
「康楽館(こうらくかん)」を思い出しました。
秋田県の十和田湖に近い小坂町というところにある
日本最古の現役木造芝居小屋で
重要文化財にもなっています。
秋田出身の私も「康楽館」を知ったのはこのときが始めで
緑豊かな山の中にあるこの芝居小屋に
本当に感動しました。
東日本大震災による大きな被害もなかったようです。
以前、別のブログでこのことを書きましたが
Textile Treeでも取り上げたいと思います。
(写真は2010年7月に撮ったものです)
・・・・緑豊かな山の中に芝居ののぼりがたくさん立っている
夢のような世界に「康楽館」があります・・・・
・・・・昭和がそのまま残っている町です・・・・
小坂町は、かつて小坂鉱山で飛躍的な発展を遂げた町です。
「康楽館」は、明治43年(1910年)に
鉱山従業員の厚生施設として誕生しました。
和洋折衷のモダンな洋風建築で
歌舞伎、新劇、映画などがさかんに上演・上映されましたが
鉱山の衰退とともに芝居小屋もほとんど休業状態。
老朽化が激しく継続が困難で、一時は消防訓練も兼ねて
「燃やしてしまおう」という案も出たそうです。
しかし、たくさんの人達の思いの詰まった歴史的建造物を
このまま無くすのは忍びないという町の人達の情熱が実り
小坂町が町おこしのために約2億円をかけて改修。
昭和61年(1986年)、見事よみがえり再開の運びとなりました。
・・・・「康楽館」では600円で1人からでも
「黒子さん」が館内を案内してくれます。
上演中も案内してくれ、10分位桟敷席から
上演を垣間みる事もできます・・・・
ここで働く方は黒子さんも含め、町の観光課の職員です。
黒子さんは観光客の案内から舞台装置の操作
幕間の売り子まで、いろんな事をこなします。
・・・・ここは舞台の花道の下の「切穴(すっぽん)」と
呼ばれるところです。黒子さんの頭上にあるのは役者さんを
舞台にせり上げる装置です。舞台装置はすべて手動です・・・・
・・・「切穴(すっぽん)」には今まで上演された歌舞伎や新劇などの
ポスターがたくさん張られていました・・・・
・・・・舞台下の「奈落(ならく)」と呼ばれる回り舞台です。
ろくろ仕掛けにより4人で舞台を回します・・・・
・・・・客席の様子です(上演中は写真撮影禁止です)・・・・
本当にこぢんまりした芝居小屋ですが、600人収容できるそうです。
お弁当やお酒を飲みながら観劇できる、まさに庶民の「娯楽」。
役者さんの息遣いが間近で感じられるので迫力満点!
こんな贅沢な観劇は都内の立派な劇場でも味わえません。
・・・・100年以上続いている芝居小屋「康楽館」・・・・
・・・・緑豊かな小坂町に、まるで映画のような風景・・・・
町営の芝居小屋として再生し、2010年に100年を迎えた「康楽館」は
市川團十郎、松本幸四郎などの歌舞伎や新劇などが行われました。
通常は、常設公演をはじめ、ファッションショーなどのイベント、
結婚式などにも利用されています。
今では十和田湖観光の目玉として年間10万人が来館。
再開後、2011年には総入館者数200万人を突破する
観光スポットになっています。
鉱山以外に産業のなかった町が「芝居小屋の修復」で
みごと黒字に転化するとともに観光名所として成功したのです。
荒れ放題だった芝居小屋を観光資源として、
地域文化の拠点として町おこしに活用しようという動きが、
ここ10年全国的にも活発になっているようです。
・・・・移築・復原された明治38年(1905)に建設された
「小坂鉱山事務所」・・・・
「康楽館」は、緑豊かな小坂町に、まるで映画のような…
タイムスリップしたかのように佇む美しい施設です。
近くには、一見ホテルと見まごうような
明治38年(1905)に建設された「小坂鉱山事務所」が
移築・復原されています。
建築的にも高く評価されている明治のオフィスを代表する建造物です。
美しい自然に囲まれた、100年以上続く芝居小屋で
お酒やお弁当を食べながらの観劇…
ここでしか味わえない贅沢な楽しみができる
本当に素晴らしいところ!
ぜひたくさんの方が訪れて欲しいです。