素材の話

ホールガーメントの“科学”。

先日『テキスタイル用語辞典』の編み地制作をご協力頂いている
(株)島精機製作所さんを訪ねた時に
ショールームで
不思議なかたちのホールガーメントを発見しました。

これは「消防士」さん用の手袋だそうです。
ねじれているような不思議な編み地で
はめてみてもフィット感がなくぶかぶかしていて
不思議な感触です。
防火や耐熱用の手袋の下にはくもので
フィットしないことで熱が伝わりにくく
ほつれにくい編み地になっていて丈夫です。

聞くところによると「無縫製ニット」のホールガーメンとは
その特性を生かし、
2008年より宇宙服にも使われているとのこと。
宇宙空間では微小重力の影響により
体内水分の移動に伴う体型変化や、
姿勢変化(背中が少し丸くなる)が起こるそうです。
「縫い代がない」ということは全重量の5%を軽くでき
地球ではあまり感じませんが
宇宙ではかなりのストレスになる
「縫い代」の摩擦や肌への刺激をなくすことができ
非常に着心地がよく動きやすい衣服になるのだそうです。
消防士さん、宇宙飛行士さんなど特殊な仕事の現場で
「無縫製ニット」が活躍していることを知り
その「機能」に感心しました。

ショールームでは
まだまだカワイイ不思議なものがあったので
次回ご紹介しますね!

 

【Textile-Tree/成田典子】