昨日TVで、安曇野の有明で織られている
「天蚕(てんさん)」という緑色の繭が特集されていました。
そういえば、山歩きのお友達のキヨコさん
( 私は“山の達人”と尊敬しています)からいただいた
天蚕の写真がありましたのでお見せします。
すこし蚕(かいこ)の説明をします。
絹は蚕の繭(まゆ)から作られます。
一般的に知られている白い繭は
「家蚕(かさん)」という、家で飼われている蚕で
桑の葉を食べて大きくなります。
一方山野など自然に生息している蚕は
「野蚕(やさん)」といい、野生の植物を食べます。
野蚕には「天蚕(てんさん)」と「柞蚕(さくさん)」があり
天蚕(山繭:やままゆともいいます)はクヌギやナラなどの葉を食べ
繭の色が葉っぱのような明るい緑色です。
一方の柞蚕はクリ、カシ、カシワなどの葉を食べ
繭の色は淡褐色で、繭は少し大きめです。
蚕は食べる葉により繭の色や硬さなどの性質が変わってくるのです。
⬆️上の緑色が「天蚕」です。多分下は「柞蚕」だと思います。
TVで見た天蚕糸は髪の毛よりも細く
7本の糸を撚って1本の糸を作っていました。
天蚕は「繊維のダイヤモンド」と言われるそうですが
繊細で、その高貴な輝きは本当に見事なものでした。
柞蚕はサッサーともいい、節(ふし)が多く、太くて丈夫。
織り上げると自然の茶系の濃淡が美しくあらわれます。
「タッサー」や「シャンタン」という織物は
この柞蚕で織ります。
絹織物の歴史は古く紀元前3000年頃といわれ
皇室ともゆかりが深く
明治以来、歴代の皇后さまは御養蚕所で
養蚕を引き継いでいます。
繭を紡いで、糸にして、布を織り上げ
それを衣服に仕立てるのは
遥か昔から女性にまかされた大きな仕事だったといいます。
いま、女性たちが
糸を紡いだり、機織りに惹かれてしまうのは
どこかにこのDNAがあるからなのかもしれませんね。