素材の話

「PTJ 2012」カイハラ(株)

5月11・12日開催された
「Premium Textile Japan2012(以後PTJ)」リポートです。

会場では久しぶりに貝原会長にお会いしました。
カイハラ(株)さんには
高速織機でデニムを織った時に廃棄物になる
(年間地球2周分の「デニムの耳」が廃棄物となり捨てられます)
「デニムの耳」の有効活用をしようと立ち上がった
デニムの耳PROJECT』のコラボなど
デニムイベントでもお世話になっております。

今回の『テキスタイル用語辞典』制作でも
デニムの加工などのサンプル提供で協力
いただけそうです。
そのデニムの加工について東京営業所の関原さんが
色々お話ししてくださいました。

カイハラ(株)さんでは高速織機で織られるデニムとは別に
「ヴィンテージ・デニム」と呼ばれる
昔ながらの「シャトル織機」で織るデニムにも
こだわったものづくりをしています。
デニムというのは“マニアック”な世界なので
特にメンズは「微妙な差」の
素人目には「どこが違うの?」というようなところに
こだわるのです。

その感覚が分からないと営業もできないので
カイハラ(株)さんの社員は全員がデニム好き!
デニムのことを本当に良く知っています。
見せて頂いたのはシャトル織機で織ったヴィンテージ・デニム。
「セルヴィッチ」と呼ばれる「耳」がついているのが特徴です。
高速織機で織ったデニムには「耳」がありません。

この2つのデニムは全く同じデニムですが
加工技術でこのような「微妙な色落ちの差」を表現できるのです。
この差が「マニアには良くわかるんですよ!」と
関原さんが説明してくださいました。

相変わらずヴィンテージ志向は続いていますが
「微差」をどれだけマニアにアピールするかが
企画の “腕”になるようです。
このこだわりができるのが「日本のデニムの魅力」でしょう。

今回の「PTJ 2012」で気がついたのは、
いいものづくりをしているメーカーさんは
シャトル織機などの「低速織機」にこだわった
ものづくりをしていることろが多いことです。
自社で素材企画ができ、
何よりも「素材が好き!」「いいものを作りたい!」と思っている
“人の情熱”が、いい製品を生み出していることを感じました。
生産効率や価格だけではない「職人魂」が「日本のものづくり」を
支えてくれていることに、大きな希望を見いだせたような気がします。(完)