「(株)林与」麻一筋の、古くて新しい本物志向

2013 S/Sプレミアム・テキスタイルジャパン(PTJ)」でご縁があった
素材メーカーをご紹介します。

今回のPTJでは、近江の麻の老舗の(株)林与さんとコラボして
テキスタイル用語辞典』をご紹介させていただきました。

(株)林与さんと2日間みっちりご一緒させていただいたので
展示会の様子や、ビジネスマッチングのことなども
よくわかり、とても勉強になりました。
しかし、あまりにも一緒にいたので
取材をするのをすっかり忘れてしまい、
ほとんど写真を撮っていなかったのです。
(林社長ごめんなさい…)

林社長は、今回の展示会は
なかなかの成果があったと話していました。
新進デザイナーとのビジネスマッチングや、
中国など海外のお客様との商談にも
流暢な英語で、いつもと同じような感覚で
対応されていました。

(株)林与さんのお客様は、麻好きのお客様です。
麻に関してかなりマニアックなもの作りをしているので
それに惚れ込んだお客様がしっかりついているのです。
林社長の「麻のうんちく」を聞くのも楽しみで訪ねる方も
多いようです(林社長の人気ブログ「リネン日記」)

林社長は初めてブースを訪ねたお客様に
「うちは高いですよ」と、平気で笑いながら話されます。
「価格競争のもの作りはしません。
うちのような小さなメーカーは、
他のメーカーさんにはできないようなものを
作っていかないと、世界と勝負できないんですよ」
と話すように、時にはとんでもないものを作ります。

展示会で多くの方の目に留まったのが
明治3年創業の老舗の藍染屋である「紺九」とコラボした
ヴィンテージ・アイリッシュリネンを本藍染めにした生地です。

・・・・今回写真撮影ができませんでしたが、
これは昨年の「ジャパンクリエーション」のときのものです・・・・

今はもう手に入らない
幻のリネンといわれる「最高級のアイリッシュリネン」、
明治30年創業の麻の織元の「林与の老舗の技術」、
紺九4代目の「国文化財保存技術保持者の
森義男さんの本藍染め」、
この3つのコラボで、最高級の本藍染めリネンを仕上げました。
価格はなんとメーター40,000円!
0をひとつ間違えたのでは…と、驚かれる方も多く
「どうしてこれはこんなに高いのですか!」と
みなさん尋ねられます。
これはいわば林与の心意気を見せたデモンストレーション
ともいえるもの。
今回の展示会では、リアルクローズな素材として
インディゴ染料で染めたデニムを提案。
これもなかなか魅力的でした。

(株)林与さんの持ち味のひとつに
「古くて新しいもの作り」があります。
滋賀県の湖東地域にある会社には、山のような試験反や枡見本、
かつて織った布が無造作にストックされています。

(2010年11月撮影)

これはまさに“宝の山”なのです。
昔織ったものは、付加価値のある個性的な織りが多く
糸の状態も今のものより良いので
光沢があり、まるで麻とは思えないような洗練されたものを
たくさん見ることができます。

ここを尋ねてくるデザイナーさんは
“宝の山”から、自分の感性にぴったりくるものを探し当てます。
古いものの中に、新しいものが渦巻いているのです。
Milleturu(ミルツル)』のオーナーデザイナー
天野千鶴さんもその一人です。
展示会場に着ていらしたブラウスの生地は、
林与さんの昔織った本麻の枡見本から探し当てたもの。

・・・・ほっこりしたムードの『Milleturu』の天野千鶴さん。
生地からデザインしたオリジナルのブラウスが素敵です!・・・・


刺し子織りのドビーストライプですが
これをブランドネームに合わせた
「3本(ミ)・6本(ル)・2本(ツ)・6本(ル)」の本数の
ストライプにアレンジ。
オリジナルの柄に仕上げました。

林社長は、デザイナーさんとよく話し合われ
意向にそった生地を一生懸命に作ります。
生地は低速のシャトル織機で織られることが多いため
織る量や時間にも限りがあります。
製織が需要に追いつかないこともあり、
今回の展示会も発送が間に合わないため、
従業員の方を会社に残し、大きなトランクと引きリュックを背負い、
一人でいらっしゃいました。
前の日は徹夜したとおっしゃっていました。

それでもニコニコとお客様に対応し、
展示会が終わった次の日はミャンマーへ飛び立ちました。
近江の小さな麻メーカーさんが、もの作りのプライドをもち
世界をかけめくる姿は、カッコいいなあと思いました。
むろん、林社長はカッコなど全く気にする方ではありませんが…