素材の話

ハイエンドを発信する『monochro』の伝統工芸

2012「Interior Lifestyle Tokyo 」で気になったアイテムをご紹介します。

デザインスタジオ モノクロ」のデザインをはじめてみた時
伝統工芸の技術やデザインを活かしながら
こんなにもモダンに愛らしい生活道具できるのかと、
ときめきました!!

・・・・「樺細工」「曲げわっぱ」「ろくろ挽き」3つの伝統工芸が合体した
「花霞(ハナガスミ)」のシリーズ・・・・

桜の樹皮を使った角館(かくのだて)の「樺細工(かばざいく)」や
薄くした杉の木を曲げて作る大館(おおだて)の「曲げわっぱ」は
秋田県出身の私にとってはおなじみのもの。
「樺細工」や「曲げわっぱ」のお盆や茶筒などは
たいていの家に一つや二つはある見慣れたものですが
『monochro』の手にかかると、見たことのないデザインとなって
今のライフスタイルにぴったりマッチするではないですか!

・・・・この浅めの茶筒はハーブ入れにいいかな…と作ったそうです・・・・

・・・・道具箱もアクセサリーなど大切なものを入れたりと・・・

「樺細工」の技術はそのままに、コラボしているのは
「曲げわっぱ」や、石川県の山中塗りでも有名な「ろくろ挽き」。
これらの伝統工芸の技術が結集して、茶筒やお盆、茶碗が作られます。
“桜”の樹皮に、“杉”の木肌、“センの木”の木肌の組み合わせという
質感の違う3つのコントラストも素敵なのですが、
なんといってもこの作品の素晴らしさは
アクセントに差し込まれているピンクやオレンジ、サックスなどの
意外性のある鮮やかな色使い。
しかもこれはウレタン樹脂で塗られているのです。

石川県の「山中塗り」は、
塗りの前段階の木地の美しさでも定評があります。
デザイナーの内藤桃子さんは、
木地師により一つ一つ丁寧に仕上げられた
木目の美しさをそのまま活かしたくて、「ろくろ挽き」の状態を採用。
しかも木目を引き立たせるために、
蓋などには白いウレタン樹脂を塗り、質感を対比させました。

・・・・・木地の木目の美しさと白いウレタン樹脂のコントラストが特徴の
「PRIM」と名付けられたシリーズ。蓋の形状も、工夫が凝らされたデザイン
に仕上げています・・・・

このような全く異質の素材コントラストの面白さが評価されて
デザインスタジオ モノクロ」は、今回の「Interior Lifestyle Award」で、
「Young Designer Award」を受賞。
2013年2月にドイツ・フランクフルトで開催される
世界最大級の見本市『Ambiente』へ出展することが決定し、
今後の活躍が期待されています。

・・・・何でもないシンプルなデザインにも様々な試行錯誤が・・・・

・・・・カップとソーサーがきっちり収まるデザインに!・・・・

上は「Emily」と名付けられた、熊本の天草の土を原料とした磁気です。
使い勝手がいいように考えられたシンプルなデザインですが
磁気は平面や直線を表現するのが困難な材質。
職人の綿密な計算と高度な技術、そして勘で
理想とするデザインが可能になったといいます。
カップはソーサーにきっちり収まるように!
ポットとクリーマーの注ぎ口は、撥水加工が施されているので、
垂れることなく注ぐことができます。

新しい発想のデザイナーが、伝統工芸産業に新しい風を吹き込み
世界に日本の技術とデザインの素晴らしさを発信してくれそうです。