フェンディの芸術性とクラフツマンシップ『FENDI UN ART AUTRE』

東京藝術大学美術館でフェンディの展覧会
FENDI UN ART AUTRE』が開催されています(4月29日まで)。
展示会に伺うまでは、
フェンディの「ファッションアーカイブ」かと思っていましたが、
フェンディの最大の特長である毛皮製品に焦点を当てたもの。
手仕事の殿堂であるファー工房がクローズアップされた
ART & CRAFTのとても見応えのある展覧会でした。


・・・・『FENDI UN ART AUTRE』パンフレット(表面)・・・・

ゴージャスな毛皮のカーテンをくぐると(これにもビックリですが)
そこにあらわれた美術品のような展示にまず驚かされます。
展示されているのは1970年〜2013年までに制作された代表作約30点。
円筒状の真鍮のショーケースには照明が美しく反射し
万華鏡のような効果で毛皮のコートが浮かび上がっています。
毛皮は、写真よりも本物の方がずっとずっと素敵で、
美術館で見る価値のある展示です。

壁面には、展示されたコートの部分を切り取ったような
毛皮のパネルが、モダンアートのように展示されています。
ファー工房の技術の粋を尽くした、
テクニカルな本当に美しい毛皮です。
タッチパネルもあり、毛皮のデザイン画や
インスピレーションソースを楽しむこともできます

もうひとつのスペースでは、
ファー工房の様子を垣間見ることができます。
技術、配色などの実験を行ってきた「ファー作り」の試作品、
シーチングを用いたファーコートの試作品、
模造紙の型紙も展示されていますが
これらも本当に美しくアート作品のようです。
ファー工房のもの作りが、いかに精度が高いかが伝わってきます。

イタリアの毛皮職人の方の実演も行われ
丁寧に説明してくれ、質問に答えてくれるのも
本当に嬉しいことです。
触ることのできる毛皮もあり、ただ見るだけではなく、
体験的な要素もある展示会となっています。


・・・・『FENDI UN ART AUTRE』パンフレット(裏面)・・・・

フェンディのデザイナーであるカール・ラガーフェルドは、
「デザインのアイディアはいくらでも出すことができるが、
工房の技術がなければ、それを形にすることはできない」
といっていました。
職人の高い技術とデザイン力が結びつき、
芸術性の高い製品が出来上がるのが
イタリアのクラフツマンシップの伝統だと思います。
そして高い職人文化が活かせるのは
こういう贅沢品を身につける需要があってこそです。

少し前に新宿伊勢丹で開催されている
「日本の手しごと展」を見ました。
日本の伝統技術や産地の高い技術がありながら、
現代のもの作りに活かされていないものもあり
本当にもったいないなあと思ってしまいました。
特に衣料では、伝統技術であればあるほど、
時代遅れのファッションに見えてしまうのは本当に残念です。

素晴らしい技術を廃れさせないためにも
いいデザイナーが必要です。
これからは、技術とクリエーションがひとつになって
アトリエや工房でもの作りを行う職人文化を
もっと育てる必要があるのではないかと思いました。
いずれも、もの作りやクラフト好きの方も楽しめるイベントですので
ぜひご覧ください。