展覧会で見た心血を注いだ龍村平蔵の古代裂復元

キスマークのついた展覧会『 龍村平藏「時」を織る。』

龍村平蔵の古代裂の復元が見られた2つの展覧会を紹介します。
宮尾登美子の『錦』を読んでから2年後の2013年、横浜高島屋ギャラリーで創業百二十年記念『龍村平藏「時」を織る。』という展覧会が開催されました。本当に楽しみでした。私はかつてこれほど時間をかけ、ガラスに顔を擦り付けるようにして見た展覧会はありません。展示ガラスの向こうの作品を食い入るように見た証のように、ガラスにはまるでキスマークのような跡があちこちにありました。私のように、顔を擦り付けるようにした見た人たちの軌跡です。私が『錦』を読んでいなければ、こんなに思い入れをもって展覧会を見てはいなかったでしょう。ああこれがあの纐纈織か、これが復元された蜀江錦か・・・と。


⬆️展覧会の図録『龍村平藏「時」を織る。』見応えのある素晴らしい展覧会でした。


⬆️古代裂「犀連珠文錦」の復元。このくらいの端切から復元されました。


⬆️法隆寺を代表する錦となったのが「四天王獅猟文様錦(獅子狩文錦)」

テキスタイルは、特に織物は写真で見てもなかなかその素晴らしさがわかりません。生のテキスタイルを身近で見てこそ、魂を込めた技術の凄さ、色合いや絵柄の美しさがはっきりと伝わるのです。龍村平藏の展覧会は、それはそれは素晴らしいものでした。

 

龍村平蔵が修復した琵琶袋「縹地大唐花文錦』
『正倉院の世界ー皇室がまもり伝えた美ー』

2019年、10月~11月にかけて、東京国立博物館 平成館で御即位記念特別展『正倉院の世界ー皇室がまもり伝えた美ー』が開催されました。正倉院展はなかなか見られるものではなく、今回このような機会を得て本当に嬉しく思いました。


⬆️『正倉院の世界ー皇室がまもり伝えた美ー』目録


⬆️琵琶を収めていた袋の残欠。古代の琵琶袋としては世界に唯一の遺品。唐時代、8世紀頃のものと推定されている。


⬆️背面は錦。拡大写真。


⬆️右は琵琶袋の残欠。左は1992年、龍村美術織物により、復元模造されたもの。織物ばかりでなく姿かたちも復元した。


⬆️1992年、龍村美術織物により模造復元した琵琶袋。大正時代、龍村平蔵が復元したものをさらに近代技術で解明し、精度を高めたもの。

私のお目当ては、もちろん龍村平蔵が復元した琵琶袋「縹地大唐花文錦(はなだじだいからはなもんにしき)」です。想像を超えるほど鮮やかで、琵琶袋の形まで再現されていました。しかしよく見ると制作年が1992年となっていました。復元は科学の発達とともに精度が高められました。「復元は常に継続すべき、終わりのない作業」のようです。しかし科学がいまほど発達していないあの時代に、龍村平蔵が心血を注いで復元した「縹地大唐花文錦」も、「作品」としてぜひ見てみたかったです。


⬆️11月21日に東京国立博物館へ。この日も長蛇の列。30分くらい並びましたが、お天気もよく気分良く入場。


⬆️会場内は一箇所だけ撮影OKの場所。正倉院 正倉の扉部分の複製ようなものが・・・

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