近江湖東産地で、麻織物文化を守る「林与」さんの話

林与(はやしよ)」さんは、滋賀県近江の麻織物メーカーで
近江上布(おうみじょうふ)の織元として
明治30年に創業しました。
現在、四代目が林与志雄社長です。
小さい工場ではありますが、シャトル織機を中心に
量産ではなかなかできない
質の高い丁寧なものづくりを行い
最近は海外からの需要も増えています。

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・・・シャトル織機の前に立つ林社長・・・

・・・かつて生産されていた近江上布・・・

・・・倉庫に眠っていた林与の近江上布のアーカイブ。
50年以上前に織られていた近江上布の見本が
数千枚から1万枚ほど確認されました・・・

林社長はとても志が高く、ものづくりの姿勢は
自らが綴る「リネン日記」からも伺えます。
1日1000件以上のアクセスがあるという人気ブログで
(4〜5年前の話ですから今はもっとあると思います)
テキスタイルやファッション業界に関わる方をはじめ
多くの方に読んでいただきたいブログです。

なかなか生産が難しい麻の高密度のキッチンリネン、
麻のデニム、先染めリネンをはじめ、
今では生産されていないアイリッシュリネン糸を織る
プロジェクトに挑戦したり、
自社のアーカイブの近江上布柄をプリント柄として
復刻させるなど、ちょっとずつ夢を叶えてきました。

 

・・・林与にストックされていたアイリッシュリネン糸・・・


・・・アイリッシュリネンハンカチプロジェクトで
製作されたハンカチ・・・

 

・・・野州市の「紺九(こんく)」とコラボした
ヴィンテージ・アイリッシュリネンを本藍染めにした生地・・・

 


・・・『インターテキスタイル上海2014』テキスタイルアワードで、
総合の3位を受賞したトロフィと賞状・・・


・・・受賞したリネンのブラックデニム(左)・・・

しかし林社長が、最も危惧しているのが
かつては麻織物産地として名を馳せていた
近江湖東産地の衰退です。
後継者不足などもあり、年々廃業が続き
今では数えるほどしか織物工場が残っていません。
そのうち2つが今年廃業予定です。
廃業する工場が使用していた織機は
スクラップされ鉄くずとなってしまいます。

シャトル織機はもう生産されていない織機です。
しかも今回廃業される工場には「絽紋(ろもん)」という
ジャカードの「絽」を織る、とても希少な織機があります。
近江湖東産地の麻織物がなくなるということは
これまで職人さんが築き上げてきた
「日本の麻織物文化」がなくなることなのです。

林社長は、湖東地区の本場の麻織物の伝統を
なんとか残したい。
家族経営の中で大事に守られてきた方たちの思いを
なんとか自分が引き継ぎたい。
そのためには、まずはこの織機を守りたいと、
このたびクラウドファンディングの「REDYFOR」で
「近江湖東産地で、衰退しつつある
本場の麻織り文化を守りたい!」
というプロジェクトを立ち上げ、
支援を募ることになりました。

https://readyfor.jp/projects/ASAORIHOZON

これは、廃業する工場の織機を10数台移設し
稼働させるための資金集めのプロジェクトです。
期限は4月5日(日)で、目標金額は100万円です。
4月5日(日)23:00時点で100万円以上集まった場合のみ
決済が完了されます。

はじめは、告知不足でなかなか集まらなかった支援金も
皆様が知るとともに支援金が増え、
4月1日(水)現在で、110万円を超えました!
応援している一人として、本当に嬉しい限りです。


・・・「プレミアム・テキスタイル・ジャパン2014」で、
ミラノ・ウニカのシルビオ・アルビーニ会長(中)と林与の林社長(右)・・・


・・・ストールとワンピース生地の2種類を提案・・・

 




・・・林与の近江上布柄をインクジェットプリントで
復刻させたもの。手前の小さな布が元の近江上布。
奥がプリントのストール。見た目はほとんど変わりません・・・

林社長は、現在ほとんど一人で国内外を動き回り
大変ハードな毎日を送られていますが、
「まだ40代という若い年代だからできる。
今をやらないと、多分できなくなると思う。
このタイミングを逃してはだめだ」と
頑張っておられます。
移設する織機を設置する建物や土地の購入資金とは
自力で捻出しようとしています。


・・・近江湖東地区。水が上がってくることもあるので
土台を高くした上に建物が建てられています・・・


・・・林与の工場内・・・


・・・林社長とスタッフのインさん・・・

プロジェクトの締め切りまであと数日ではありますが
近江湖東地域の麻織物産地としての現状を
多くの方にまず知っていただきたい。
そして「Made in Japan」のものづくりが
過去の遺産にならないように、
産地で志を持って頑張っている方を
ぜひ応援して、次の世代へとつないでいきたいと
心より願っています。
これは近江湖東地区だけではなく、
日本の織物産地の多くに見られている現状ですから。