映画『サクラサク』のルーツ(Vol.2)

さだまさしさん原作の映画『サクラサク』では
福井県美浜町早瀬の瑞林寺(ずいりんじ)が
クライマックスの舞台になっています。

『サクラサク』映画化の立役者となったのは
福井市在住の熱烈なさだまさしファンの鰐渕辰子さん
鰐渕さんは10年ほど前、
福井新聞社関連の仕事をしている時に
取材で弘子姉さんの自宅を訪ねました。
その時に偶然にさだまさしさんのサインを見つけたのが
そもそもの始まりでした。
「どうして渡辺弘子さんのところに
さだまさしさんのサインがあるのか…」


・・・・早瀬の瑞林寺。この左手の現在駐車場に
なっている場所にさだまさしさんの父・佐田雅人さんが
住んでいたといいます・・・・

『サクラサク』はさだまさしさんの短編小説
『解夏(げげ)』に収録されているものです。
さだまさしさんは取材のために
お父さんが幼い頃に住んでいた早瀬を
何度か訪れています。

現在弘子姉さんたちが住んでいる
夫の純造兄さんの実家は
お祖母さんの代に魚屋をしていました。
屋号を「長四郎」といいます。
ロシアから引き上げてきた佐田雅人さんとご両親は
長四郎のすぐ近くの瑞林寺の側に住み
長四郎によく魚を買いに来ていたといいます。


・・・・映画の撮影のために瑞林寺の裏山に
植えられた桜の木・・・・

当時のことを知っている方は
ご高齢でほとんど亡くなってしまい
かろうじて弘子姉さんたちが
長四郎のお祖母さんのことや
桜の木のことをうっすら覚えていました。

さだまさしさんは、父・雅人さんと一緒に
弘子姉さんたちに小説の取材を兼ねて
話を聞きに家に何度か訪れました。
サインはその時にいただいたものです。
雅人さんは、映画にあるように
早瀬での両親との暮らしは本当に楽しい思い出で
長四郎のお祖母さんには、
とても良くしていただいたと話されたそうです。
とても残念ですが、その後雅人さんは
お亡くなりになりました。
弘子姉さんは、雅人さんのお人柄が大好きで
「もう一度会いたい…」と、淋しそうでした。


・・・・桜の木のあるところから早瀬の海を眺めた風景・・・・

この事実を知って、鰐渕さんは
『サクラサク』の小説のルールが
早瀬の瑞林寺であることを知りました。
折しも現在の瑞林寺の住職夫人も
さだまさしファンであったことも手伝い、
映画化への思いを強く持ち、
以前より面識のあった田中光敏監督に
映画化の話を持ちかけました。
2002年に小説『解夏』に出会い感銘を受け
その後、色んなものがつながってきました。

「点が線に、線が面になりなり、
映画という立体になった」

福井市出身の一人の「さだまさしファン」が
「映画化したい!」という一途さで
多くの人たちを巻き込んで
映画を作らせてしまいました。
“情熱”が不可能を可能にしたのです。


・・・・渡辺弘子の布絵『三番叟』・・・・

映画『サクラサク』の初頭には、
弘子姉さんの作品にもなっている
早瀬の子供歌舞伎の『三番叟(さんばそう)』が登場します。
地元の方は、まずこのシーンで
がつんとやられます。
弘子姉さんの弟でもある私の主人は
子供の時にこの三番叟を演じており
「オーサイヤ  オーサイヤ  ヨロコビアリヤ…」との
唄いを聞いただけでじわっときたようです。


・・・・「寿式三番叟」は、もともと能の「翁」を
歌舞伎化した義太夫です。天下泰平・国土安穏・
五穀豊穣・子孫繁栄などを祈願する舞を舞います・・・・

映画では藤 竜也さん演じる認知症のお父さんが
かすかに覚えていたのが瑞林寺の
「六つのお地蔵さん」です。
地元の方には馴染みのお地蔵さんが
映画では大きなキーワードとなります。


・・・・映画に登場する瑞林寺のお地蔵さん・・・・

弘子姉さんも瑞林寺のお地蔵さんが描かれた
『お彼岸』という作品を制作しています。
これは、映画で登場するお地蔵さんの上の方にある
「代受苦(だいじゅく)」と彫られたお地蔵さんです。
仏様が苦しみを代わりに受けてくれるということです。
悩み事があるときは、お地蔵さんにお参りして
苦しみを和らげてもらいます。


・・・・渡辺弘子の布絵『お彼岸』・・・・


・・・・瑞林寺の代受苦地蔵・・・・

映画のラストシーンは、桜の切り株が出てきます。
実はこの切り株の秘話があるのですが
それはナイショです…