「東京糸井重里事務所」訪問

ホントにこういう会社ができるんだ…と。

「株式会社 東京糸井重里事務所」(これが正式名です)は
会社らしくない(?)内装にも驚きましたが
その「仕事のしかた」も「会社の組織」もゆるく、柔軟性があるのです。


・・・事務所のドアのマークです・・・

企画から生産管理までを担当している渡辺さんが語ってくれた
「東京糸井重里事務所」の成り立ちから成長、
ものづくりの話しは本当に面白く、
クリエーターだったら「こういう会社で働きたい」
経営者だったら「こういう会社をつくりたい」
と思わざるを得ません。
あるいは「そんなに上手くは…長くは続かないのでは…」と
少し退いて見てしまう方もいるかもしれません。


・・・事務所内は一瞬、旅館?料亭?かと思うような「和」を組み入れています・・・


・・・ただいま会議中・・・

ご存知「ほぼ日」こと「ほぼ日刊イトイ新聞」は
1998年にスタートしたインターネットメディアで
1日13万アクセスある超人気サイト。
はじめは3人位から手弁当でスタートしたのが
現在は社員50人の会社に成長しました。
稼ぎ頭になっているのが
2002年にスタートした「ほぼ日手帖」。
年間40万部、10億円の売り上げがあるといいます。

すべては「自分たちの欲しいもの・作りたいもの」を作ります。
2番煎じはしない。
既成の製品にキャラクターを付けるだけのことはしない。
オリジナル商品にこだわり、
なかには素材からの開発もあります。
商品の物語性をとても大切にしており
世界観を作るコピーや、サイトのデザインなどは、さすがです。


・・・事務所内で使用している木材はすべて廃材で取り外しが可能・・・


・・・奥に見えるのがたくさんの“乗組員”がいる大きな部屋です・・・

トレンド分析やマーケティングでものを作るのではなく
あくまでもスタッフ個人の思い入れや好みなどで企画され
採用されたものが(糸井社長の最終OKだと思いますが)
それを提案したスタッフが担当し、もの作りがスタートします。
ものによっては開発から販売まで3年かかるものもあるとか。

担当スタッフはほとんどその道の素人が多く
メーカーさんとあれこれ相談しながら
自分で一生懸命勉強しながら作るのだといいます。
業界の常識では考えられない
あるいは予想もつかないものができあがり
それが「ほぼ日」ヒット商品の要因のひとつでもあるようですが
中には…結果的に原価率68%になってしまった商品もあったとか。


・・・ペンギンマークのあるトイレ。カワイイ!・・・

「東京糸井重里事務所」では
たくさん売り上げた人やヒット商品を企画した人が
評価されるのではなく
「どれだけ人の役に立てたか」ということが評価されます。
会社内で困っている人がいたら、自分の担当外でも手伝ってあげる。
ですからいくつも掛け持ちで仕事している人も多くいるようです。
仕事とは自分で見つけ、自分で作る。
堅苦しい企画書を出す必要はありません。
自由にアイディアを出して話し合い、
乗組員同士(社員のことは「乗組員」と呼んでいます)が競い合い
「自分の企画ってすごいだろう!」
「どう、かっこいいデザインでしょう!」なんて
みんなをアっと驚かすることに生き甲斐を感じているような人が
ほとんどのようです。

残業代も有給休暇もありません。
けど、もの作りが好きなクリエーターには
たまらない、嬉しい条件ですが
新入社員には、何をどうしていいにか分からないので
ちょっと厳しいかも…と、渡辺さんが話していました。

(大手通販会社から転職した渡辺さんはもちろんイキイキ!)

「東京糸井重里事務所」は、役職の無い会社で
みんなが横並び。
利益はみんなに還元するシステムになっているので
お給料は悪くないようです。
しかし、だんだん会社が大きくなってきたので
いざというときのために会社にプールするお金も
これから考えていかなくては…と。

何ともうらやましいような、信じられないような話しです。


・・・社訓(?)「雨にもマケズ」がかかっていました・・・

この基本姿勢は
「友だちや隣人たちによろこばれるように、
ときには助けたりできるように、やっていきたい」
という、糸井さんの会社に対する考えにあるようです。

本当に作りたいものを作っていきたい。
自分たちが本当に気持ちよく仕事ができる会社にしていきたい
と思うのはまさに理想の姿です。
いいものを作りたいから、よけいなことを取り払い
風通しよくしたらこういう形になり、
気がついたら売り上げが伸びていた…
ということなのでしょうが、
なかなか普通はそう上手くはいきません。

おそらく、一番のポイントは友人や隣人や、もちろん家族も含め
「身近な人を喜ばせたい、助けたい」とする考えが根底にあり
仕事をしているとことにあるような気がします。
なにか宗教的な意味合いさえ感じるこのような考えは
欧米の会社にはない発想ではないかと思いました。
マーケティングをして、売るための戦略を考えたもの作りではなく
あくまでも自分たちのために作る。
作る側も楽しく仕事ができ、それなりの利益を得られ
それに賛同する方に買っていただき
喜んでいただければ嬉しい。
こういうもの作りが多くの人の気持ちに共鳴し、
ファンがどんどん増えているのです。

「ものを求める、購入する」というスタンスに
「愛着」とか「ファン」とか「ロマン」といった要素が
大きくなってきているのでしょう。
流行とか、ブランドなどに振り回されずに
「自分の好きなもの」を長く大切に使いたいと思う人が
増えているのだと思います。


・・・ここってホントに事務所(?)乗り組員の休憩室にも利用・・・


・・・お料理を作るキッチンも洗濯機もあります・・・

「東京糸井重里事務所」をみていると
日本人のものに対する価値観が
大きく変わりはじめたこと、
新しい時代が来ていることを実感します。
もちろん「糸井重里」というブランドの力も
大きいものがありますが
長年時代の空気を感じ、
メッセージを発信してきた糸井さんが
これからの新しい時代に向けて、なんらかの「嗅覚」が働き
それに向かって進んでいった結果が
今のこのスタイルなのかなと、思わせていただきました。

背中を押していただいたような気がしました。

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