素材の話

「neutral warau笑」小山田紀子 展

デザイナーであり衣装作家の小山田紀子さんは
女子美術大学や昭和女子大学の講師であり
子育て真っ最中のお母さんでもあります。

3月初め開催された、
「neutral warau笑」というテーマの個展では
思わず笑顔になってしまう
暖かく柔らかな「丸み」に癒されました。


シロクマさんのようにも、赤ちゃんのパンパースのようにも見える
思わず触りたくなる愛らしいフォルム。
お子様への愛が感じられます。


「私はお尻が大好きなんです」お尻の丸みのような
優しいフォルムを表現したかったんです。
そういって笑う小山田紀子さんは、とっても素敵な女性です。

「ごあいさつ」がとても素敵だったので一部ご紹介します。

………「山笑う」とは春の季語で、
寒さに耐えた木々の芽や花のつぼみが一斉に開き、
景色が明るくなり、山が笑っているように
みえることを言うそうです。
とても心豊かな言葉として、私のこころに入ってきました。

私たちの生活は自然とともにあり、
豊かな心は優しさと確かな安心感を与えてくれる人たちや
いつもそばにあって少しだけ愛嬌を見せてくれる
モノたちに守られているのかもしれません。
そんな優しさや安心感を形にしようと思いました。

「warau笑」季節とともに
心にも春が来ることを願って
………


素材は一見フェルトのようですがニードルパンチで作ったものです。
バージンウールや洋服を利用したリサイクルウールを繊維状にし
カーディング(わた状にすること)して重ね
ニードルパンチ(針で繊維を結合させる)を施します。
それをさらに石鹸水などで縮絨させフェルト状の生地にしたものです。


フェルトよりは柔らかく、軽くボリュームがありながらも、
ふんわり空中に浮いているようなエアリーな作品に仕上がっています。


シーチングに洗いをかけてさらに手を加え、張り感を出したもの。
布の彫刻のような、優しくもかたさのある表現が新鮮でした。


「お尻」にこだわる小山田さんは、このように見えないところにも
愛らしいお尻の立体感を表現していました。