編集長ブログ

『テキスタイル用語辞典』、プロの仕事

『テキスタイル用語辞典』の制作は時間との戦いで
終盤は過酷なスケジュールの中でスキルの底力が発揮されました。
最後の校正はクリスマス明けの12月26日に校正者さんに渡し
お正月明けの1月の5日に頂くという超ハードなものでした。
実際仕事ができるのは27日から4日までの9日間で、
600Pの辞書の本文525P分の校正です。

はたして引き受けていただける校正者さんがいらっしゃるのか…と
半ば諦めかけておりましたら
なんと運良く辞書専門の校正者さんをご紹介いただくことができました。
3人のチームでやっていらっしゃるフリーの校正者さんで
『テキスタイル用語辞典』の内容に興味をもって頂いたこともあり
心よく引き受けてくださいました。
本来ならばこの数倍の時間をかけてやりたいところでしたが
事情が許さず、校閲抜きの文面の「てにをは」などをチェックする程度の
仕上げ校正でお願いいたしました。
出来上がった校正は1月5日の午前中着の
宅配便で送っていただく予定です。

1月5日の朝、ご担当の方からお電話がありました。
宅配便が正月時間で集荷が早まり、出すのが間に合わなかったので
持ってきましたというのです。
遠くに住んでいるのにもかかわらず、早朝出かけ
約束の時間に間にあうよう、わざわざ持ってきてくださったのです。
「この人たちは、すごいな!」と思いました。
時間厳守はプロの鉄則ですから…

そして、校正した内容を見て驚きました。
「校閲抜きの仕上げ校正で」とお願いしているのにも関わらず
気になる数値や年代などは調べてくれており
「この表記は差別用語になります」とか
2種類の漢字表記があるもの、
索引とスペルの違っているものなど
できる範囲で細かなチェックも入れてくださっています。

校正者さんにお願いする前に
もちろん編集部でも何回か校正はしていますが
さすがプロの校正者の目は違うと、たいへん勉強になりました。
今回の校正の感想、問題点なども
きちんとまとめて書いてくれています。
ご本人たちは時間が足りず十分な校正ができなかったと
おっしゃっていましたが
知性の高さを感じさせる校正でした。

また、3人の校正者さんから頂いた請求書には
みなさん丁寧な手紙を添えられておりました。
ハードな仕事にも関わらず
十分な校正料もお支払いできませんでしたが
心温まることばを頂き、もうすっかり私の心は
このチームの虜に!
仕事の能力の高さに、人間性の素晴らしさ感じさせ
こちらが望んでいる以上のものを出してくれる
「これぞプロの仕事」でした。
もちろん、これからもぜひ一緒に仕事をしていきたいと!
とてもいい勉強をさせていただき、
本当にありがとうございました。