渡辺弘子の布絵の世界Vol.8『ふきつみ』

弘子姉さんのお隣は、享保3年(1718)創業の
三宅彦右衛門酒造という老舗の蔵元です。


・・・江戸時代から続く三宅彦右衛門酒造の酒蔵・・・


・・・酒蔵の脇の細い小道を通っていくと弘子姉さんの家があります・・・

地元では「早瀬浦」というお酒で知られ、
純造兄さんの愛酒でもあります。
私たちが行くといつも振る舞ってくれます。
かつて、定置網漁を描いた弘子姉さんの作品『歓(よろこび)』が
「早瀬浦」のラベルのデザインに用いられたこともあります。


『ふきつみ』:平成2年制作の“おたやん”シリーズのひとつです。
かつて三宅さん(地元の人たちはそう呼んでいます)には
ふき畑があり、弘子姉さんの家の2階からよく見えました。
『ふきつみ』の作品は、三宅さんの奥さんがふきを刈っている様子を
イメージしたものだそうです。


“おたやん”の、思わず触りたくなるようなこの愛らしい丸いお尻が
私は大好きです。
“おたやん”は “おたふく、おかめ”のことで関西方面では
こう呼ばれています。親しみを感じる、いい呼び名です。


ふきの茎はよく見るといろんな布が使われています。
微妙な色彩を意識した縞柄です。
下地になっている布は、昔の蚊帳(かや)です。


これは「引き札(ひきふだ)」と呼ばれる
三宅彦右衛門酒造の昔の広告チラシです。
弘子姉さんの家のつい立てに貼られていました。
恵比須さんと大黒さんが金庫の前で景気良さそうです。
商売繁盛(恵比須さん)と家内安全(大黒さん)の
ご利益のある福の神です。いいデザインですね。


弘子姉さんの庭の小さなふき畑。
ネギやさやえんどうなど、いろんな野菜がちょこちょこあります。
最近はこの辺にまで猿やイノシシが来て
畑を荒らすようになりました。
自転車や車の前に急に飛び出し、事故などもあるようです。
昔は民家まで出ることのなかった猿やイノシシですが
山が住みにくくなったのでしょうか…頭の痛い問題です。