渡辺弘子の布絵の世界Vol.5『筍』

連休の前半を利用して、主人の実家のある
若狭の美浜町早瀬に帰りました。
3年前に亡くなった義母のお墓参りが目的ですが
今回は弘子姉さんの布絵をたくさん見せていただき
しっかり取材することも大切な目的です。


早瀬の神事や祭りの中心になっている
「日吉神社」でお参りして、弘子姉さんの住まいに向かいます。


鈴緒(すずお)の下の方には、マクラメ編みのカバーがつけられています。


小さな路地が入り組んでいる早瀬は
なまこ壁の土蔵や木造の格子窓の家が立ち並ぶ
情緒ある町並みが残っています。


格子窓は家の中から外が見えますが、外から室内は見えません。
閉ざしてしまわない、ほど良い近所付き合いが保てる
昔の人の知恵ですね。

弘子姉さんと純造兄さんの住む家
古い家作りを残すために丁寧にメンテナンスをした古民家の佇まいで
いつ来ても暖かく包んでくれます。
「そうは見えないやろ」と笑っていましたが
メンテナンスやリフォームには結構お金がかかっているようです。
今の時代には、とても贅沢な空間です。


いつもの招き猫が迎えてくれます。
黒い招き猫は魔除けや厄除けの意味を持つそうです。


こちらは、なかなかなついてくれない「たーちゃん」。
物干し台の上から警戒しています。

このところ弘子姉さんは元気がありません。
その原因のひとつが、弘子姉さんが愛して止まない
美しい美浜町の暮らしや宗教文化が
どんどん無くなってきている事があります。
この話しは、弘子姉さんの布絵の作品を紹介しながら
追々書いていくことにします。


弘子姉さんは、ご主人の純造兄さんが沢山とってきた筍を茹でて
料理の下処理をしていました。
かつては家の裏山で採れた筍ですが、
数年前からは、イノシシや鹿があらわれ、
筍を掘り返したり、新芽を食べたりして
すっかり採れなくなりました。
いまは、敦賀の方まで採りに出かけているそうです。


『筍』:平成11年の弘子姉さんの作品です。
この時代はまだ裏山の竹やぶで立派な筍が採れました。
実際、このくらい育ってしまった筍はかなりかたくて食べられないと
筍採り名人の純造兄さんは笑っていました。


竹の皮の質感がとってもいい雰囲気に出ています。
ジャンパーに使われていたコーデュロイを色抜きして
ぼかしたタッチを作りました。
弘子姉さんは、ささっとスケッチして布を置きながら
微妙な色合いや形を構成していくそうです。


夜は筍ごはん、筍の煮物、筍の木の芽あえなど
筍づくしのお料理をごちそうになりました。
スズキのお刺身や、この時期しか獲れない地元ではシンコイカという
スルメイカの小さなものをポン酢で頂きました。
もちろんお隣の蔵元、三宅彦右衛門酒造の「早瀬浦」と一緒に!
幸せ〜!!!