「ダーウィンの書斎」小林和史さんの詩的な昆虫アート

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小林和史さんの昆虫アートの作品は、
Netで拝見したことはありましたが、本物を見たのは初めて。
ひとつのことを極めるとはこういうことなのかなあと・・・。
一見すると昆虫標本を使ったアートのように思えますが、
これらは全部紙で創られた昆虫なのです。
しかもただ本物そっくりに創っているのではなく、
その昆虫が生み出された世界観が表現され、
切り抜かれた紙も小さな紙片も美しい作品となります。

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・・パンフレットにもなっている作品。
人物はもちろんダーウィン・・

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・・下の切り抜きが、
リアルな立体的なカブトムシになっている・・

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・・アーティストの小林和史さん・・

「僕の作品は“俳句”のようなものです」と
小林さんはいいます。

じっくり考えたり、
時間をかけてピースを組み立てて作るのではなく、
型紙は一切用いず、長年の経験と勘で、
まるで切り紙細工のように一気に切り抜く。
それを折りあげて
立体的なリアルな昆虫にしてしまうのです。

インスピレーションが湧き、
心に響いたものを一気に切り抜き
感じたままに創り上げるので、
ひとつひとつの昆虫が全部違う。
だからリアリティがあるのかもしれません。
きっと、無心のスピード感に
魂が宿るのだと思います。

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どう見ても羽にしか見えないものは
薄紙にハサミで気が遠くなるような
細かな切り込みを入れたもの。
粉がふいたようなリアルな蛾
露に濡れた美しい蜘蛛の巣。
虫眼鏡で見ても・・・
やっぱり昆虫にしか見えない。

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小林和史さんは、3歳頃から見よう見まねで
紙をハサミでチョキチョキ切って
昆虫を創っていたといいます。
昆虫採集が趣味だったお父さんの昆虫標本が
身の回りにたくさんあったこと、
お祖父さんが工芸の職人で
ものづくりの環境も当たり前のようにあったこと、
さらに小児喘息で外で遊ぶことが
できなかったことも手伝い
おのずと家で昆虫創りに没頭するようになったのです。

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・・シャツのボタンと比べても大きさがわかると思います・・

小学生の頃には、すでにかなりの技術で昆虫を創ることが
できるようになっていました。
同じものを創るのではなく新しいことをやりたい。
新しい技術を開発したり、新しい素材で創ってみたくなったり、
それがどんどん面白くなり、
表現はますますアートの世界へと向かいます。

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・・エリザベス女王の写真からたくさんの昆虫が創られ、
切り抜いた小さな紙片も、よく見ると
虫眼鏡でしかわからないほどの昆虫!!
写真の紙は全て作品にしてしまっている、
近くで見てアッと驚く、恐るべき作品。
小林さんのイメージする大英帝国が表現されているという・・

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・・一見、昆虫と思うが、アフリカ、インカ、
南洋諸島などを彷彿させるたくさんの仮面!・・

実は、小林さんは造形作家だけではなく
いくつもの顔を持ちます。
入社したイッセイミヤケでは
ファッションデザイナーとして、
独立後は、空間演出や舞台演出、
映像分野なども手掛けます。
SONY、蔦屋 T-SITEなどの施設の
アートディレクションにも携わるなど
その研ぎ澄まされた感性を様々な分野で発揮している
マルチアーティストなのでした。

「僕には先生がいないし、こういうジャンルも
おそらく他にはないのではないかと思います」
昆虫という分野にかけては、まさにオンリーワンの才能を発揮し、
ファーブルから、ダーウィン、そしてダヴィンチへと
イメージの世界はどんどん広がっていくのかもしれません。

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・・ダーウィンの書斎のイメージのディスプレイも素敵です・・

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小林和史さんの作品は、
2016年4月12日〜25日ま西武渋谷店B館5階で開催されていました。
落ち着いた照明のクラシックな雰囲気のメンズ売り場の中の展示は、
まさに「ダーウィンの書斎」のイメージがぴったり。
アンティークの実験道具が置かれた
研究室のようなメインコーナーの他、
売り場のあちこちに作品が展示されており、
探しながら見て歩くのも楽しい展示でした。

今度はどんな空間で展覧会があるのでしょうか、
楽しみです。

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